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「ダメ、ダメ」言い過ぎる母親を生む日本社会で、自己肯定感の低い子にしない最高の方法

2019年11月26日(火)16時45分
船津徹

放任するのでなく、自主性を伸ばせる環境を与える

私は子どもを放任せよと言っているのではありません。子どもが自主性を伸ばせる環境や機会をもっと作ってほしいということです。たとえば「走り回りたい!」というのは、多くの男の子にとって自然な欲求です。でもデパートでは走り回ることはできません。ですからデパートのかわりに公園や運動場に連れて行き、思い切り走らせてあげればよいのです。

東京都立川市にある「ふじようちえん」の園舎はドーナッツ型になっていて、子どもたちは屋上で歓声をあげながら自由にぐるぐる走り回ることができるそうです。そのような環境であれば、親が「ダメダメ」言うことなく、子どもは自分のやりたい行動を十分にやり切ることができます。子どもたちは1日平均5〜7キロ移動すると言いますから、子どもの持つエネルギーには驚きます。

子どもの自己肯定感を育てるには「干渉を減らすこと」が手っ取り早い方法です。家の外は人目が気になるという場合は、自宅や、祖父母の家や、信頼できるママ友の家など、安全かつ、子どもが自由に行動できる環境で遊ぶ機会を増やしてあげましょう。

そして、自分でブロックが作れた、自分で絵が描けた、自分でおもちゃを片付けられた、という小さな達成を親は見逃さずに、「ブロックが作れたね!」と声をかけてあげてください。それで子どもは成功を実感することができます。

手伝いを頼み感謝を伝える

子どもの自主性と自己肯定感を育てる最高の方法が「お手伝い」です。子どもに簡単なお手伝いを頼み、手伝ってくれたら、「ありがとう。助かったわ」と感謝して抱きしめるのです。これで子どもは、「自分はできる」、「自分には価値がある」という自信を大きくすることができます。

お手伝いを頼むときは、命令で子どもを動かそうとしてはいけません。小さな用事でも「頼むこと」を忘れないでください。「◯◯ちゃん、このお皿をテーブルに持っていってくれるとママ助かるわ」と頼めば、子どもは必ず応えてくれます。そして手伝ってくれたら「ありがとう。◯◯ちゃんのおかげで助かったわ。頼りになるわ」と抱きしめて感謝します。

子育て上手なお母さんは、子どもに頻繁にお手伝いを頼み、成功体験のインプットを積み上げています。人から感謝される喜びと快感をたくさん経験して育った子どもは、前向きで積極的な人柄に育ちます。最初は1日でかまいません。

「ダメ、ダメ」を封印しましょう。そしてお手伝いを頼み、「感謝」を伝えてください。それだけで子どもの目の輝きが変わります。

【参考記事】「アイデンティティ」を前に手が止まる日本人 自分が何者かを知るための第一歩とは?


profile_Pic_toru_funatsu.jpg[執筆者]
船津徹
TLC for Kids代表。明治大学経営学部卒業後、金融会社勤務を経て幼児教育の権威、七田眞氏に師事。2001年ハワイにてグローバル人材育成を行なう学習塾TLC for Kidsを開設。2015年カリフォルニア校、2017年上海校開設。これまでに4500名以上のバイリンガル育成に携わる。著書に『世界標準の子育て』(ダイヤモンド社)『世界で活躍する子の英語力の育て方』(大和書房)がある。


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