最新記事

日本女性が握る「絶妙な固さ」 ソウルのOLが殺到する日本式おにぎり専門店が大ヒット

2025年10月8日(水)08時20分
佐々木和義
日本式おにぎり専門店「とんありおにぎり」のおにぎり

1日400個もの売上がある日本式おにぎり専門店「とんありおにぎり」のおにぎり(筆者撮影)

<おにぎり文化が根付いていない韓国で、日本式おにぎり専門店が異例のヒット>

韓国で今、日本式おにぎりが静かな人気を集めている。2025年2月、ソウル在住の日本人女性が日本式おにぎり専門店「とんありおにぎり」を開業。ほぼ同時期に韓国セブンイレブンも日本人監修のおにぎりを発売した。両者に接点はなく、追随でもない。期せずしてタイミングが重なったのだ。

日本では1日200個から300個が繁盛店の目安とされるおにぎり専門店。しかし「とんありおにぎり」は、おにぎり文化が根付いていない韓国で1日400個も売り上げている。店名には日本語の「おにぎり」を付け、メニューと味は日本式、スタッフもすべて日本女性という徹底ぶりだ。

成功の立役者──松本ひとみさんの挑戦

オーナーの松本ひとみさんは、日本人駐在員の間でよく知られている居酒屋「とんあり」の経営者だ。2002年に大阪の会社を退職し、1年間の語学留学を経て学生街でお好み焼き主体の居酒屋を開業。その後、都心に移ると日本人駐在員が集まるようになった。数度の移転を経て、2020年には住居を兼ねた自社ビルを建てるなど、韓国で成功した日本人の一人に数えられている。

現在、ソウルに自社ビルを有する日本企業は東レのみで、個人では松本さんがただひとりだという。

おにぎり店開業のきっかけ

ところが新型コロナの終焉と前後して食材費が高騰。日本の味を手軽に味わってほしい思いとは裏腹に、値上げをせざるを得なくなった。手軽で安価に食べられる韓国式海苔巻き「キンパブ」が、コロナ禍前の2000ウォン台から今や4000ウォンを超えるほどの物価高騰。とりわけ食費の高騰が著しい。

そんな中、大阪に一時帰国した松本さんの目に、コンビニおにぎりを頬張る韓国人旅行者の姿が飛び込んだ。関西空港でもおにぎりを頬張る韓国人旅行者を目にした松本さんは、「おにぎりなら物価高騰に悩む韓国の会社員たちの助けになる」と考えた。

企業経営
ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パートナーコ創設者が見出した「真の成功」の法則
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

MAGA派グリーン議員、トランプ氏発言で危険にさら

ビジネス

テスラ、米生産で中国製部品の排除をサプライヤーに要

ビジネス

米政権文書、アリババが中国軍に技術協力と指摘=FT

ビジネス

エヌビディア決算にハイテク株の手掛かり求める展開に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生まれた「全く異なる」2つの投資機会とは?
  • 3
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃度を増やす「6つのルール」とは?
  • 4
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 5
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    レアアースを武器にした中国...実は米国への依存度が…
  • 8
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 9
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中