最新記事

貿易

中国、米国保護主義対抗で欧州各国大使に「共同戦線」呼び掛け

2018年4月18日(水)10時00分

4月17日、中国商務部の傳自応副部長が先週、欧州主要国の大使と会談し、中国と協力して米国の保護主義に対抗することを要請した。写真は15日、青島の港に荷揚げされる貨物(2018年 ロイター)

中国商務部(商務省)の傳自応副部長が先週、欧州主要国の大使と会談し、中国と協力して米国の保護主義に対抗することを要請した。事情に詳しい4人の関係者が明らかにした。

会談に関わった何人かの西側外交筋は、傳氏による大使呼び出しについて、米国との摩擦拡大を受けた中国側の外交的な働き掛けが活発化している表れだと指摘した。

米政府は中国の知的財政権侵害行為などへの制裁として1500億ドル相当の中国製品に関税を課す方針を表明。これに対して中国は、自らを多国間の自由貿易体制の守り手と位置付け、国際社会にアピールしている。

会談が行われたのは12日と13日で、フランス、ドイツ、英国、スペイン、イタリアと欧州連合(EU)の大使が出席した。中国がトランプ政権の強硬な通商政策への「共同戦線」構築を目指しているとみられる。

ある外交筋は会談について「メッセージは、われわれは米国の保護主義に共同で反対して、自由貿易を提唱しなければならないということだった。中国は自信を誇示しているが、内心ではかなり懸念を抱いているように見受けられる。彼らはトランプ大統領の通商問題に関する決意を見くびっていたようだ」と語り、中国には主な貿易相手が米国と連携する事態にならないか不安に思っていると付け加えた。

一方、EUのある外交担当高官は、EUはどちらかの肩を持つつもりはなく、目標とするのは多国間システムを元通り機能させることだと強調し、世界貿易機関(WTO)を通じた通商紛争解決の取り組みに言及した。

イタリアと英国両大使館およびEU代表部の報道官は、いずれも大使が傳氏と会ったことを認めた。ドイツ大使館の報道官はコメントを拒否し、他国の大使館は取材に返答しなかった。

中国商務部もコメント要請には応じていない。

[北京/ブリュッセル 17日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

訂正-メルセデス、中国パートナーとの提携に投資継続

ビジネス

ホンダ、カナダにEV生産拠点 電池や部材工場含め総

ビジネス

スイス中銀、第1四半期の利益が過去最高 フラン安や

ビジネス

仏エルメス、第1四半期は17%増収 中国好調
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 7

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中