最新記事

アメリカ政治

米政府機関閉鎖、上院共和・民主の穏健派が協議 合意のめど不透明

2018年1月22日(月)11時42分

1月21日、つなぎ予算の失効により米連邦政府機関の一部が閉鎖したことを受け、議会上院の共和、民主両党の穏健派議員らは事態打開に向け協議を行った。写真は20日、記者会見する上院民主党のシューマー院内総務(2018年 ロイター/Joshua Roberts)

つなぎ予算の失効により米連邦政府機関の一部が閉鎖したことを受け、議会上院の共和、民主両党の穏健派議員らは21日に事態打開に向け協議を行った。ただ、週明け22日までに合意に達するかどうかは不透明。

この日の協議には20数人の議員が参加。一部議員は進展がみられたと述べたが、妥協が成立する可能性について詳細は明かさなかった。議員らは、最終的な結論は上院共和党のトップ、マコネル院内総務と上院民主党のシューマー院内総務に委ねられたと語った。

共和党のジョニー・アイザクソン上院議員は「正しい方向に進んでいる」と述べた。「良くも悪くもあらゆる可能性を排除しないが、良い結果を期待している」とした。

両党間の協議では、共和党が民主党の訴える移民問題への対応を数週間内に行うと約束する代わりに、政府機関再開に向け民主党の協力を取り付けるという合意案が浮上しているもよう。

共和党のリンゼー・グラム上院議員は「政府機関の再開と移民問題の解決を同時に図る」と強調した。

民主党は幼少期に親と不法入国した「ドリーマー」の救済策を講じるよう要求している。

民主党のディック・ダービン上院議員はCBSテレビの番組で、「まっとうな回答を求めている。その回答を導くことができるのはトランプ大統領だけだ。これは彼が引き起こした閉鎖だ」と強調した。

ダービン氏は「ドリーマー」に法的保護を与えるための採決に向けた方法について上院指導部が議論を続けているが、どの程度進展したかは不明だと語った。

トランプ氏と共和党議員の一部は、政府機関の閉鎖が続く限り移民などの問題を協議しないと述べている。

ホワイトハウスのサンダース報道官は「シューマー上院議員と民主党が、米国民に仕える政府と軍隊を人質に取る限り、われわれは不法移民の扱いについて協議に応じない」と述べた。

共和党のロイ・ブラント上院議員は、21日中の予算決議のチャンスはあると指摘。一方、共和党上院のナンバー2、ジョン・コーニン議員は、22日も政府機関の閉鎖が続くかとの記者団に対して「現時点ではそうなると思う」と答えた。

トランプ大統領は21日、共和党議員や政府機関幹部と電話会談を行っており、週末予定されていたフロリダにある別荘へ行く計画を取りやめている。

ホワイトハウスは、来週開かれる世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)へのトランプ氏の出席は、政府機関閉鎖の影響で流動的になっていると説明した。

トランプ氏はツイッターで、政府機関の閉鎖が長期化した場合、賛成60票で承認という上院の規則を変更し、51票で承認できるようにする「核オプション」を導入して、長期予算を可決すべきだとの認識をしていた。これについて、マコネル米上院院内総務(共和党)のスポークスマンは、電子メールで「共和党協議会は規則変更に反対する」とコメントした。

[ワシントン 21日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

インフレに忍耐強く対応、年末まで利下げない可能性=

ワールド

NATO、ウクライナ防空強化に一段の取り組み=事務

ビジネス

米3月中古住宅販売、前月比4.3%減の419万戸 

ビジネス

米新規失業保険申請、21万2000件と横ばい 労働
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 3

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画って必要なの?

  • 4

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 5

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 6

    【画像】【動画】ヨルダン王室が人類を救う? 慈悲…

  • 7

    ヨルダン王女、イランの無人機5機を撃墜して人類への…

  • 8

    紅麴サプリ問題を「規制緩和」のせいにする大間違い.…

  • 9

    インド政府による超法規的な「テロリスト」殺害がパ…

  • 10

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中