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EU仏独が新型戦闘機の共同開発 英EU離脱で欧州軍事産業は転換点へ
7月13日、フランスとドイツは両国閣僚会議後、新型戦闘機を共同開発する方針を発表した。写真は13日、仏エリゼ宮(大統領官邸)で行われた両国閣僚会議後の共同記者会見に臨むドイツのメルケル首相(左)とフランスのマクロン大統領(2017年 ロイター/Stephane Mahe)
フランスとドイツは13日の両国閣僚会議後、新型戦闘機を共同開発する方針を発表した。英国の欧州連合(EU)離脱を見据えて、安全保障面での協力を強化する狙いがある。
これにより、ドイツと英国などの共同開発機「ユーロファイター」、仏「ラファール」、スウェーデン「グリペン」と現在3種類が存在する欧州の戦闘機地図には今後変化の波が押し寄せそうだ。
仏独両国の発表によると、新型戦闘機開発の行程表を来年半ばまでに策定する方針。マクロン仏大統領はメルケル独首相とともに臨んだ会見で「これはとてつもない革命であることは認める。だが波乱なく計画的に時間をかけて実行されるという点で心配はしていない」と語った。
専門家は、共同開発対象は有人機と無人機兼用の戦闘機になる可能性もあると予想した。
フランスは1980年代にユーロファイター開発計画から離脱。独自に同国のダッソー・アビアシオンを通じてラファールを配備し、両機は世界中でし烈な販売競争を繰り広げてきたが、そうした状況には終止符が打たれる。
防衛業界専門家は、今回の動きは英国と同国の主な防衛機器契約を担うBAEシステムズにとっては逆風だとの見方を示した。
あるドイツの防衛業界幹部はロイターに「英国にとっては次のようなメッセージになる。つまり『あなたはEUを出ていき、われわれ(仏独)は先に進む。防衛面でEUの足を引っ張るあなたにはもう興味はない』ということだ」と説明した。
実際、仏独の共同開発宣言において英国がどのような役割を果たすかは明らかにされなかった。一部の専門家や防衛産業関係者は、今後英国が米国との防衛協力をさらに進めていくきっかけになるかもしれないと述べた。
英国は現在、ユーロファイター開発に参加する一方で米ロッキード・マーティンが主導する新型ステルス戦闘機「F35」計画の陣営にも属している。英シンクタンク研究員は「英国が次世代戦闘機において米国との新たな提携を検討することはほぼ避けられない」と話した。