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北朝鮮

北朝鮮・シリアの化学兵器コネクション

2017年4月21日(金)12時10分
李英和(関西大学教授)※時事通信社発行の電子書籍「e-World Premium」より転載

今回のアサド政権による化学兵器使用に関しては、20年前のパキスタン核実験を想起する必要がある。

98年、パキスタンは立て続けに6回の核実験を実施した。パキスタンの原爆はウラン濃縮型だ。ところが、最後の6回目の実験は、パキスタンが持たないはずのプルトニウム型だった。つまり、北朝鮮がノドンミサイルをパキスタンに無償で供与する代わりに、パキスタンが北朝鮮に代わって北朝鮮製小型核弾頭の性能を確かめる「代理実験」だった。

代理実験の北朝鮮側の動機と目的は、国際社会の目を欺き、制裁を免れるためだった(これについては本誌16年12月6日付の拙稿「【北朝鮮】第2次朝鮮戦争に突き進む? 北朝鮮─核・ミサイル進展で日本の切り札でなくなる拉致」参照)。

代理実験か共同実験かはともかく、今回のシリアでの化学兵器使用でも、パキスタンの場合と似た構図が当てはまりそうだ。もしそうなら、マレーシアとシリアを舞台に、金正恩政権はVXとサリンという2種類の化学兵器の威力を実戦で試したことになる。

シリアの化学兵器使用の直後から、安倍晋三首相と菅義偉官房長官が毒ガスを搭載した「北朝鮮の弾道ミサイル脅威」に盛んに警鐘を打ち鳴らす。恐らくこれは、上述したように、金正恩政権が化学兵器使用の「禁止線」(レッドライン)を踏み越えた現実を反映したものなのだろう。

【ニューストピックス】朝鮮半島 危機の構図

eworld170421-profile.jpg[執筆者]
李英和(リ・ヨンファ)
関西大学教授(北朝鮮社会経済論専攻)
1954年12月22日大阪府生まれの在日朝鮮人三世。大阪府立堺工業高校機械科卒、関西大学経済学部(夜間部)卒業、関西大学大学院博士課程修了(経済学専攻)。関西大学経済学部助手、専任講師、助教授を経て現職。91年4月~12月、北朝鮮の朝鮮社会科学院に留学。93年にNGO団体「救え!北朝鮮の民衆/緊急行動ネットワーク」(RENK)を結成、現在、同代表を務める。著書に『暴走国家・北朝鮮の狙い』(PHP研究所、2009年)など多数。


※当記事は時事通信社発行の電子書籍「e-World Premium」からの転載記事です。

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