最新記事

世界経済

G20終了、米の反対で声明から反保護貿易削除 7月首脳会合に期待

2017年3月19日(日)13時47分

 3月18日、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は2日間にわたる会合を終了、声明ではこれまで長らく言及してきた反保護貿易主義の部分を削除した。写真は会見するムニューシン米財務長官(2017年 ロイター/Kai Pfaffenbach)

20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は2日間にわたる会合を終了、声明ではこれまで長らく言及してきた反保護貿易主義の部分を削除した。

声明で貿易への言及はわずかにとどまり、議長国のドイツが米新政権の姿勢に折れた形となった。このほか地球温暖化への言及も削除した。

今回の会合は19カ国対米国の構図のなか開催されたが、米国からの妥協は得られなかった。しかし討議自体は友好的で対立するものではなく、今後妥協する余地を残した。

ムニューシン米財務長官は、「私にとって初のG20で、過去の声明は私の立場からみて必ずしも適切ではない。(トランプ)大統領の望みや政策を理解しており、私はここでそれを協議した」とし、結果に満足していると述べた。

ムニューシン長官は、「われわれは自由貿易を確信」しており、貿易の有用性も認めたが、「しかし一部の合意については再検証したい」と述べた。

フランスのサパン財務相など一部は米側の姿勢に苛立ちをみせたが、「結束していないわけではない。保護貿易主義への反対は議論の余地がないが、(各財務相にとって保護主義の)意味が明確ではなかったということだ」(ショイブレ独財務相)とする声もあった。

ショイブレ財務相は、一部の国では通商問題全般を管轄していない閣僚もいたことも挙げた。

モスコビシ欧州委員は「最善の会合ではないが後退は避けた。(7月にG20首脳会合が開かれる)ハンブルクで文言が調整されるよう望む。それは必要で、それこそがG20の存在理由だ」と述べ、首脳会合への期待を示した。

温暖化対策への言及は、米国とサウジアラビアの反対で削除した。

G20声明では為替について過去の言及を踏襲した。「為替レートの過度な変動や無秩序な動きは経済や金融の安定に悪影響を与え得る。外国為替市場について緊密に協議し、通貨の競争的な切り下げ回避を含むこれまでの合意を再確認する」とした。

金融機関規制へのコミットも維持した。



[バーデンバーデン(ドイツ) 18日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

メルセデス、中国パートナーとの提携に投資継続 「戦

ビジネス

日経平均は大幅反落800円超安、前日の上昇をほぼ帳

ビジネス

焦点:国内生保、24年度の円債は「純投資」目線に 

ビジネス

ソフトバンク、9月30日時点の株主に1対10の株式
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 6

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 10

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中