最新記事

疑惑

「北朝鮮」と菅「献金」の深い闇

菅首相と民主党から多額の献金を受けた政治団体の怪しい実態とは

2011年7月15日(金)14時33分
知久敏之、長岡義博(本誌記者)

 震災と原発事故で日本中が騒然としていた今年4月、東京都三鷹市の市議選に政治団体「市民の党」から28歳の若者が立候補した。選挙ポスターで柔和な笑顔を見せ、若年層の雇用促進などを訴えた彼には、他陣営も当初「腰の低そうな好青年」という印象しか持たなかった。

 しかし三鷹の有権者は、若者の出自を知って仰天することになる。父親はよど号ハイジャック事件の実行グループのリーダーで、95年に潜伏先の北朝鮮で死亡した田宮高麿。母親は1980年にヨーロッパから石岡亨と松木薫を北朝鮮に拉致したとして国際指名手配されている森順子(よりこ)容疑者──。

 若者は2人の長男として83年に北朝鮮で生まれ、20歳になった2004年に日本に帰国したという。結局、若者を含めて市民の党から三鷹市議選に立候補した3人は全員が落選した(現在は公人ではないため、ここでは若者は匿名にしている)。

 今月初め、この「市民の党」と関係の深い神奈川県相模原市の政治団体「政権交代をめざす市民の会」に、菅直人首相の資金管理団体「草志会」から多額の献金が渡っていたと、産経新聞が報じた。北朝鮮による拉致事件の被害者の家族からは、「政治家がやることとは思えない」「即刻(首相を)辞めてくださいと言いたい」といった強い憤りの声が上がった。

 それも当然だろう。菅は首相として政府の拉致問題対策本部長を務め、先頭に立って拉致問題の解決を図る立場にある。拉致被害者の早期救出を訴えるブルーリボンバッジも最近着つけるようになった。たとえ献金自体に違法性がなくても、道義的にも政治的にも責任がある。

「市民の党」と「めざす会」の北朝鮮との接点は、冒頭の若者にとどまらない。...本文続く

──ここから先は7月13日発売の『ニューズウィーク日本版』 2011年7月20日号をご覧ください。
<デジタル版マガストアでのご購入はこちら
<デジタル版Fujisan.co.jpでのご購入はこちら
<定期購読のお申し込みはこちら
 または書店、駅売店にてお求めください

今週のカバー特集は「日本政治メルトダウン」。四面楚歌でも首相の座にとどまり続ける菅総理の「正体」や、日本政治をダメにする「第四の権力」の問題点、菅首相の献金問題の真相----に迫ります。
■日本 菅直人という名のストレステスト
■メディア 政治をダメにする「第4の権力」
■疑惑 「北朝鮮」と「献金」の深い闇

他にも
■想像してごらん、保守派のレノンを
■暴かれたマードックの陰謀
■マフィアを愛した妻たちの絶望 など
<最新号の目次はこちら

[2011年7月20日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国人民銀には追加策の余地、弱い信用需要に対処必要

ビジネス

訂正(17日配信記事)-日本株、なお魅力的な投資対

ワールド

G7外相会議、ウクライナ問題協議へ ボレル氏「EU

ワールド

名門ケネディ家の多数がバイデン氏支持表明へ、無所属
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画って必要なの?

  • 3

    【画像】【動画】ヨルダン王室が人類を救う? 慈悲深くも「勇ましい」空軍のサルマ王女

  • 4

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 5

    パリ五輪は、オリンピックの歴史上最悪の悲劇「1972…

  • 6

    人類史上最速の人口減少国・韓国...状況を好転させる…

  • 7

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 8

    ヨルダン王女、イランの無人機5機を撃墜して人類への…

  • 9

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 10

    アメリカ製ドローンはウクライナで役に立たなかった

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 7

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 8

    「もしカップメンだけで生活したら...」生物学者と料…

  • 9

    温泉じゃなく銭湯! 外国人も魅了する銭湯という日本…

  • 10

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    巨匠コンビによる「戦争観が古すぎる」ドラマ『マス…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中