最新記事

航空

旅客機、どんどん狭くなる足元スペースの暴利

狭い座席に乗客を詰め込む強欲エアラインに誰もがブチ切れ寸前

2014年8月27日(水)16時17分
アリソン・グリズウォルド

我慢の限界 大手も含めてエコノミークラスの座席はどんどん狭くなっている Jason Hetherington-The Image Bank/Getty images

 今週ニュージャージー州ニューアークからコロラド州デンバーに向かっていたユナイテッド航空の飛行機が、予定を変更して途中のシカゴに着陸した。オヘア国際空港に着陸した飛行機からは、警察と保安係官に従われて、機内で喧嘩を始めた2人の乗客が降ろされた。喧嘩の原因は、座席の足元のスペースだった。

 きっかけになったのは、男性の乗客が使った「ニー(膝)・ディフェンダー」という旅行用具。ポケットに入る程の大きさで、前の座席の後ろに付いているテーブルの位置を固定することで、前の座席の乗客がリクライニングできないようにする。約22ドルで売られているので、リクライニングで足元のスペースを奪われて飛行中に窮屈な思いをすることを考えれば安いものだろう。

 AP通信は次のように伝えている。


 当局関係者によれば、乗客の喧嘩は12列目中央の席に座っていた男性客が、ノートパソコンを使用中に前の席の女性客がリクライニングできないよう、「ニー・ディフェンダー」を使ったことで始まった。キャビンアテンダントが器具を外すよう男性に求めたが、男性は拒否した。すると女性客が立ち上がって振り返り、水が入ったコップを男性に投げつけた。ユナイテッド航空は、2人を途中のシカゴで降ろすことを決めた。


「ニー・ディフェンダー」については、アメリカ連邦航空局(FAA)は厳密には使用を禁止していない。しかしユナイテッドを含むアメリカのほとんどの大手航空会社が使用を禁止している。それでも、今回使おうとした男性を責めることはできないだろう。特に昨今は、航空各社がより多くの乗客をより狭い座席に押し込めようとしているからだ。

 90年代から2000年代前半には約47センチあった座席の幅は、今日約42センチに狭まっている。前後の席の間のスペースも約10%程度狭くなり、約86センチだったのが82〜76センチ、ひどいときには71センチにまで縮小している。その一方で標準的な乗客は、身長、体重ともに増加している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエルがイラン攻撃と関係筋、イスファハン上空に

ワールド

ガザで子どもの遺体抱く女性、世界報道写真大賞 ロイ

ワールド

北朝鮮パネルの代替措置、来月までに開始したい=米国

ビジネス

個人株主満足度、自動車はトヨタ 銀行は三井住友が首
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 3

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 4

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 5

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 6

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 7

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 8

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 9

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 10

    紅麴サプリ問題を「規制緩和」のせいにする大間違い.…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中