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航空機トラブル続きボーイング787は大丈夫か
「夢の最新鋭機」に重大な事故につながりかねないトラブルが続発。日米当局の命令で当分空も飛べなくなってしまったが、いったい何が原因なのか
ドック入り 羽田空港で点検を受ける全日空ボーイング787型機 Toru Hanai-Reuters
ボーイング社の最新鋭機である787型機ドリームライナーは、ここ数週間まずい状況に陥っている。トラブルが相次ぎ、航空会社や運輸当局、そしてもちろん一般の乗客をも不安に陥れているからだ。
全日本空輸の山口宇部発羽田行きボーイング787型機で昨日、飛行中に機内で煙が発生し、高松空港に緊急着陸したトラブルが起こった後は、日米当局が相次いでボーイング787型機の運航を見合わせるよう世界の航空各社に命令。新しい機種にありがちな「初期不良」ではすまないかもしれない、という懸念も強まっている。
ドリームライナーに「悪夢」をもたらしている不具合の数々を挙げてみよう。
1)燃料漏れ
米連邦航空局(FAA)は先月、787型機の燃料を送る配管の組み立てで不具合を発見し、航空各社に対して点検を指示していた。彼らの不安は的中し、今月7日にはボストンのローガン空港に駐機中の日航機のバッテリーから出火し、客室内に煙が発生。8日には同空港で別の日航機が離陸前に燃料漏れを起こした。
成田空港では13日、7日にボストンで出火したのと同じ日航機で点検中に燃料漏れが見つかった。左翼の給油口から燃料を抜き取っていたところ、燃料放出用のノズルから約100リットルの燃料が漏れ出したという。このトラブルもボストンで発生したものと同様、バルブが不意に開いてしまうシステム上の不具合が原因とみられている。
2)バッテリー問題
今月16日の全日空機のトラブルは「バッテリー系統の異常」によって引き起こされたと見られている。全日空機は緊急着陸を余儀なくされ、機内には煙に加えて焦げたにおいが充満した。7日のボストン空港でもバッテリーからの出火が起こっている。
3)操縦室の窓ガラスにひび
今月11日、羽田空港から松山空港に向かっていた全日空機で操縦室の窓ガラスにクモの巣状のひびが入ったことが確認された。通常通り松山空港に着陸し、ガラス交換を行い、事なきを得た。
もしも運航中に割れた窓ガラスから操縦士が投げ出されたらどうなるのだろうか。あり得ないように思える事故だが、1990年にブリティッシュ・エアウェイズで実際に発生している。機長は一時、吹き飛んだ窓から上半身が飛び出した状態になったものの、乗客・乗員全員が無事に生還した。
4)電気系統の不具合
ユナイテッド航空機が先月4日、機器故障でニューオーリンズの空港に緊急着陸したのをはじめ、電気系統の問題が最近の一連のトラブルの大多数を占めている。先月13日、カタール航空の保有機でも不具合が見つかった。先月17日には、ユナイテッド航空でも電気系統の問題が報告されている。
5)ブレーキの不具合とオイル漏れ
今月9日、山口宇部空港で点検中の全日空機にブレーキの不具合が見つかり、運航を中止した。コンピューターの誤作動によるものだという。次いで11日、宮崎空港で全日空機に潤滑油漏れが発生した。
同日FAAは、787型機の基幹システムの包括的な調査を開始すると表明。さらに16日にはアメリカ国内での787型機の運航停止の命令を出した。これを受けて17日、日本の国土交通省もすべてのボーイング787型機の運航停止を命じる方針を固めた。
From GlobalPost.com特約