プレスリリース

新型コロナウイルス メキシコ・中央アメリカ:帰還した子どもに差別と暴力のリスク【プレスリリース】

2020年05月22日(金)17時08分
公益財団法人日本ユニセフ協会

タパチュラにある同伴者のいない移民の女の子のための施設で、1歳の息子と人道ビザの発給を待つ17歳のマリアさん(仮名)。(メキシコ、2019年1月撮影) (C) UNICEF_UN0278771_Bindra
【2020年5月21日 ニューヨーク 発】

3月上旬以降、少なくとも1,000人のおとなの同伴者のいない移民の子どもが米国からメキシコや中央アメリカ北部(エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス)に帰還したと、ユニセフ(国連児童基金)は本日述べました。本地域では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって子どもの保護におけるリスクが高まっていることが憂慮されています。また同じ期間に、少なくとも447人の移民の子どもが、メキシコからグアテマラとホンジュラスに帰還しています。

ユニセフは、保菌者として扱われる帰還者への暴力と差別があり、コミュニティへの再統合において帰還者は深刻な保護のリスクに直面していることに警鐘を鳴らしました。

「COVID-19によって、地域を移動する子どもたちにとってこれまでも悪かった状況はさらに深刻化しています。子どもたちが移動する要因となったギャングによる暴力といった既存の脅威に、差別と暴力が加わりました」とユニセフ事務局長のヘンリエッタ・フォアは述べました。「これは、帰還した子どもの多くが二重の危険にさらされ、国を離れた時よりもさらなる危険に直面していることを意味します。安全でない場所に送り返されることは、子どもの最善の利益にはなり得ません」

この地域ではCOVID-19の検査、治療、封じ込め対策に関する情報が限られていることで、帰還者と市民の間で混乱や恐怖が生じています。一部のコミュニティでは、米国やメキシコから帰還した子どもや家族がウイルスを運ぶおそれがあると懸念されており、移民へのさらなる差別につながっています。グアテマラとホンジュラスでは、地域における感染を防ぐため、帰還者を含む外部のグループや見知らぬ人の立ち入りを禁止している事例があると報告されています。

他の例をみても、帰還者は暴力の脅威にさらされ、移民受入・トランジットセンターは脅迫や攻撃を受けています。

テクンウマンのメキシコ国境で人道ビザの発給を待つ移民の家族。(グアテマラ、2019年1月撮影) (C) UNICEF_UN0278794_Bindra
COVID-19の流行下では、中央アメリカ北部とメキシコの子どもの保護システムの機能は、移動制限とスタッフ用の個人用防護具の不足により制限されています。さらに不運なことに、暴力などコミュニティで生じている命や再統合への脅威を明らかにする、同伴者のいない子どもに対する調査の機会が減っています。

地域全体で、ユニセフはひっ迫している国の子どもの保護システムを強化するため取り組んでいます。

グアテマラでユニセフは、隔離されている間、帰還した子どもに宿泊施設とサービスを提供する政府を支援しており、中にはCOVID-19の検査で陽性となった子どももいます。同時に、ユニセフとパートナー団体はこれらの子どもたちに保健ケア、心理社会的サポートや家族の追跡を提供しています。さらに、帰還者への差別や子どもへの暴力を防止するための取り組みを行っています。

エルサルバドルとホンジュラスでは、移民と帰還した子どもを保護するための取り組みを強化しています。政府やパートナー団体と協力して子どもの保護のスクリーニング調査を強化し、同伴者のいない子どもを家族と再会させるための移動手段の確保、子どもの保護当局への個人用防護具の提供、安全な再統合の環境を整えるための支援を行っています。

また、メキシコの北部と南部の国境では、保護当局によるスクリーニング調査の実施を支援するとともに、遠隔での心理社会的ケア、衛生キット、資料を提供しています。

ティファナにある同伴者のいない移民の若者のための施設で、自分たちの中央アメリカからの旅について話す10代の若者たち。(メキシコ、2019年2月撮影) (C) UNICEF_UN0284774_Bindra
ユニセフは、庇護申請手続きやCOVID-19の検査がないままに移民の帰還が行われた事例があったことを確認しています。中央アメリカ北部は、帰還者の到着時に行うCOVID-19の検査能力を最大限拡充することで、これ以上の感染拡大を防ぎ、帰還者の安全を確保できるよう取り組んでいます。

ユニセフは、各国政府に対し、同伴者のいない子ども、および事前に適切な保護と検査を受けていない家庭の子どもの強制送還を停止するよう求めています。また、ふるさとから逃れた子どもの福祉を守るために、さらに以下の具体的な措置をとるよう政府に要請しています:

庇護と家族との再会を希望する子どもの権利を守る
庇護申請者や移民の子どもと家族を拘留せずに済む代替策を講じることにより、養育者の移住ステータスを理由とするすべての子どもの拘留を終わらせる
COVID-19の検査や治療への公平なアクセス、ならびに感染予防の情報やと水と衛生サービスへのアクセスを確保する
元のコミュニティに戻るべきかどうかに関する決定がなされる前に、子どもの保護当局が各場合において、どの解決策が子どもにとって最善の利益になるかを見定める
帰還者が安全に再統合され、不可欠なサービスを受けられるようにするために、各国と協力してリスク・コミュニケーションを行いCOVID-19のもたらす恐怖に対処する
子どもの保護システムが、移民・難民を含むすべての弱い立場に置かれた子どもにとって不可欠なサービスとして機能し続けるよう支援する


* * *

■ 新型コロナウイルスに関するユニセフの情報はこちらからご覧いただけます。
特設サイト: https://www.unicef.or.jp/kinkyu/coronavirus/
各種ガイドライン: https://www.unicef.or.jp/kinkyu/coronavirus/info/
新型コロナが世界をどう変えたか: https://www.unicef.or.jp/news/2020/0126.html
移民・難民の強制送還の中断を: https://www.unicef.or.jp/news/2020/0120.html
ロヒンギャ難民キャンプで初感染: https://www.unicef.or.jp/news/2020/0121.html

■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。( www.unicef.org )
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する33の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国33の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。( www.unicef.or.jp )
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