ツール

ウェッブ望遠鏡の画像がいかに凄いか見比べてみよう

2022年7月13日(水)15時26分
エド・ブラウン

ウェッブ望遠鏡と従来の望遠鏡の宇宙の見え方を比べるツール NASA

<宇宙の初期の銀河まで見えるというウェッブ望遠鏡とハッブル望遠鏡の違いは何か?>

NASA(米航空宇宙局)は7月12日、巨大宇宙望遠鏡「ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」が撮影した初のフルカラー画像をいくつか公開した。これまでよりはるかに遠くの天体が鮮明に写っており、宇宙の初期の銀河の研究にも役立つという。

ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影した最新画像と、これまでの天体画像を比較できるオンラインツールも登場し、この最新望遠鏡がいかに強力かがよくわかる。

NASAが2021年12月に打ち上げたウェッブは、人類が見ることのできる宇宙の限界をこれまでよりはるか遠くにまで押し広げた。ウェッブの「第1ディープフィールド」と呼ばれるこの画像は、これまででもっとも遠い宇宙を撮影した赤外線画像とされる。

nasa1.jpeg
NASA


この画像には、地球から46億光年離れた銀河団「SMACS 0723」が写っている。

人によっては、ハッブル宇宙望遠鏡が1995年に撮影した、有名な「ハッブル・ディープフィールド」などほかの宇宙望遠鏡の画像とあまり違って見えないかもしれない。ハッブル・ディープフィールドにも、はるか彼方にある無数の銀河が写っている。

ウェッブとハッブルの大きな違いは、ハッブル望遠鏡が主に可視光で宇宙を観察しているのに対し、ウェッブは赤外線で観測していることにある。赤外線観測は、可能なかぎり遠くまで宇宙を見通すには最適な手段だ。

英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのマイケル・バーロウ名誉教授(物理学・天文学)は本誌に、「ハッブルは、数多くの素晴らしい発見をした。たとえばハッブル・ディープフィールドでは、赤方偏移2前後の、銀河形成がピークだった時代が写っている。宇宙の年齢が、現在の3分の1くらいだった時代のものだ」と語った。

「だが、ハッブルはおもに光学望遠鏡であるのに対し、ウェッブは赤外線望遠鏡だ。最初期の銀河が放つ紫外線と光放射は、ハッブルには見えないが、ウェッブが観測するにはぴったりの波長だ。ウェッブなら、ビッグバンの直後に形成された最初期の諸銀河を検出し、研究することができる」

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