コラム

ナチスと戦った若きドイツ人女性を知っている?

2019年01月15日(火)17時40分

ゾフィーは挑戦的にヒトラー政権の犯罪を糾弾して処刑された点で、まれだった。白バラ抵抗運動は、ユダヤ人虐殺を、ドイツ人に対する自由抑圧を、戦争の狂気を非難した。彼らはドイツの人々に、抵抗を呼び掛けた。こうして彼女はドイツ国民の記憶の中で、国家の良心としてあがめられることとなった。

抵抗運動を行えば投獄、処刑されるような、敵国と戦い抜く政権を支えることが愛国的義務であると信じ込むように国家全体が操られるような......そんな国で育ったにもかかわらず、それらが全て間違っていることを確信して立ち向かう勇気を持てたなんて、驚きを禁じ得ない。あまりに多くのドイツ人が悪に抵抗する責任を放棄するなか、白バラ抵抗運動は、それを成し遂げた。

僕にとって、ゾフィーは「ドイツのヒロイン」ではない。シンプルに、ヒロインだ。

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プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

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