米軍の「麻薬船」追加攻撃、ヘグセス長官が承認 政権は合法と主張
写真はヘグセス長官。ドミニカ共和国のサント・ドミンゴで撮影。REUTERS/Erika Santelices
Steve Holland Jeff Mason
[ワシントン 1日 ロイター] - 米ホワイトハウスは1日、ベネズエラからの「麻薬運搬船」とされる船舶に対して9月に米軍が行った複数回の攻撃について、ヘグセス国防長官が作戦責任者に承認を与えたと認めた。
米紙ワシントン・ポストは、最初の攻撃で生き残った2人に対する再攻撃が実施されたのはヘグセス氏による全員殺害命令を遂行したためだと伝えていた。
トランプ大統領は11月30日、自身はこの船舶への2回目の攻撃を望んでいなかったとするとともに、ヘグセス氏はそうした命令を下したことを否定したと述べていた。
しかし、ホワイトハウスのレビット報道官は1日、作戦を指揮したブラッドリー提督に「ヘグセス氏がこれらの攻撃を実行する権限を与え、提督は自らの権限と法令の範囲内で当該船舶を破壊して米国にとっての脅威を除去せよという指令を見事に実行した」と述べた。攻撃はあくまで米国の国益を守るための「自衛措置」で、公海上で実施され、武力紛争に関する規定に沿っていると説明し、「トランプ政権はこれらの薬物テロリストを国際テロ組織に指定している」と述べた。
米軍は9月以降、カリブ海や中南米の太平洋側で麻薬密輸の疑いがある船舶に少なくとも19回の攻撃を実施し、少なくとも76人を殺害した。ただ「麻薬運搬船」への攻撃の合法性を疑問視する声もあり、与野党双方の議員が調査に乗り出すと表明している。
国際人道法は戦闘不能状態の戦闘員への攻撃を禁止している。また、国防総省が武力紛争における国際法適用に関する国内規準をまとめた「戦争法マニュアル」では、操縦不能になった船舶の乗組員に故意に攻撃することはできず、敵対行為や逃亡を試みない限り医療措置を提供する必要があるとされている。
ジョージ・ワシントン大学のローラ・ディキンソン法学教授は、大半の法律専門家は船舶への攻撃が武力紛争に該当すると考えておらず、殺害を伴う武力行使は最後の手段だとした上で、「武力紛争以外では殺人に当たるだろう」と指摘。また、戦争下であっても、生存者殺害は「戦争犯罪になる可能性が高い」との見方を示した。
元軍法務官らでつくる団体「JAGsワーキング・グループ」は命令について「明らかに違法」だとし、従った者は戦争犯罪で起訴されるべきだと主張した。





