ニュース速報
ワールド

参政党が「日本人ファースト」で躍進、減税と積極財政を強調

2025年07月20日(日)22時52分

 7月20日、第27回参議院選挙が投開日を迎え、「日本人ファースト」を掲げた参政党が大きく躍進する勢いだ。写真は同党の神谷宗幣代表。都内で20日撮影(2025年 ロイター/Manami Yamada)

Tamiyuki Kihara

[東京 20日 ロイター] - 第27回参議院選挙が20日投開日を迎え、「日本人ファースト」を掲げた参政党が大きく躍進する勢いだ。与党の過半数割れが有力視される中、神谷宗幣代表は減税と積極財政の実現を強調しており、政権の枠組み次第では政府の政策に影響を与える可能性がある。

NHKは同日午後8時ごろ、参政党の獲得予測を10―22議席とした。公示前の1議席(非改選)から大幅に増え、東京や茨城など多くの複数区で議席を獲得する公算だ。11議席を超えれば、参院で独自の法案提出が可能となる。

神谷氏は同日夜、日本テレビの番組で「期待以上の応援をいただいている。グローバリズムへのアンチテーゼを国民に伝えていくのが活動の指針だ。減税と積極財政をしっかりやることによって経済に力を取り戻して、国民が安心して暮らせる日本を取り戻そうということに力を入れてやっていこうと思う」と述べた。

一方、「日本人ファースト」のキャッチフレーズについては、「外国人差別だと言われるが、叩くためにレッテルを貼られたなという感覚は持っている」と釈明した。

選挙後の自民党との連携に関しては「いまの段階では考えていない」と明言。「まだ小さい政党なのでいきなり政権与党とかかわると我々が崩されてしまう。(組むのは)どの政党というより、やはり政策だ。減税や積極財政、外国人問題を一緒にやろうというところと組んでいきたい」と話した。

参政党は今回の参院選で外国人の受け入れについて問題提起し、争点化した。専門家らは、神谷代表のメッセージは景気と円安に不満を抱く有権者の心をつかんでいると分析。記録的な数の外国人観光客が日本を訪れ、物価の上昇に拍車をかけている状況も追い風になったとみている。

自民党の元政調会長室長で、政治評論家の田村重信氏は「物価高など経済的な不安が国民に広がる中、参政党が保守層の『反石破』の流れをくんで躍進した」と話す。「消費税減税や国民負担率削減の訴えが有権者に響き、さらに日本人ファーストの訴えも外国人に対する国民の不安に響いた」と語る。

減税や積極財政の財源はどうするのか。神谷代表はテレビ朝日の番組で問われると、「一番は国債だ」とする一方、「金融市場への影響を考えるということであれば、暗号資産、デジタル通貨の発行も考えていく」と主張。「新しいやり方を考えていかないと、いまのルールの中だけでやるのは少し難しいかなと考えています」と話した。

(鬼原民幸 取材協力:竹本能文)

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

参院選、自公で過半数微妙な情勢と各社報道 首相は続

ワールド

石破首相が続投の方針、「日本の将来に責任」 参院選

ワールド

石破自民との「大連立はあり得ない」=野田・立憲民主

ワールド

国民民主の玉木代表、「石破政権とは協力できず」 続
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「マシンに甘えた筋肉は使えない」...背中の筋肉細胞の遺伝子に火を点ける「プルアップ」とは何か?
  • 2
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人口学者...経済への影響は「制裁よりも深刻」
  • 3
    日本では「戦争が終わって80年」...来日して35年目のイラン人が、いま噛み締める「平和の意味」
  • 4
    父の急死後、「日本最年少」の上場企業社長に...サン…
  • 5
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失…
  • 6
    約558億円で「過去の自分」を取り戻す...テイラー・…
  • 7
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 8
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 9
    小さなニキビだと油断していたら...目をふさぐほど巨…
  • 10
    イギリスのパブで偶然出会った日本語ペラペラのイン…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 4
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 5
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 6
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 7
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウ…
  • 8
    「マシンに甘えた筋肉は使えない」...背中の筋肉細胞…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 7
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 10
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中