参政党が「日本人ファースト」で躍進、減税と積極財政を強調

7月20日、第27回参議院選挙が投開日を迎え、「日本人ファースト」を掲げた参政党が大きく躍進する勢いだ。写真は同党の神谷宗幣代表。都内で20日撮影(2025年 ロイター/Manami Yamada)
Tamiyuki Kihara
[東京 20日 ロイター] - 第27回参議院選挙が20日投開日を迎え、「日本人ファースト」を掲げた参政党が大きく躍進する勢いだ。与党の過半数割れが有力視される中、神谷宗幣代表は減税と積極財政の実現を強調しており、政権の枠組み次第では政府の政策に影響を与える可能性がある。
NHKは同日午後8時ごろ、参政党の獲得予測を10―22議席とした。公示前の1議席(非改選)から大幅に増え、東京や茨城など多くの複数区で議席を獲得する公算だ。11議席を超えれば、参院で独自の法案提出が可能となる。
神谷氏は同日夜、日本テレビの番組で「期待以上の応援をいただいている。グローバリズムへのアンチテーゼを国民に伝えていくのが活動の指針だ。減税と積極財政をしっかりやることによって経済に力を取り戻して、国民が安心して暮らせる日本を取り戻そうということに力を入れてやっていこうと思う」と述べた。
一方、「日本人ファースト」のキャッチフレーズについては、「外国人差別だと言われるが、叩くためにレッテルを貼られたなという感覚は持っている」と釈明した。
選挙後の自民党との連携に関しては「いまの段階では考えていない」と明言。「まだ小さい政党なのでいきなり政権与党とかかわると我々が崩されてしまう。(組むのは)どの政党というより、やはり政策だ。減税や積極財政、外国人問題を一緒にやろうというところと組んでいきたい」と話した。
参政党は今回の参院選で外国人の受け入れについて問題提起し、争点化した。専門家らは、神谷代表のメッセージは景気と円安に不満を抱く有権者の心をつかんでいると分析。記録的な数の外国人観光客が日本を訪れ、物価の上昇に拍車をかけている状況も追い風になったとみている。
自民党の元政調会長室長で、政治評論家の田村重信氏は「物価高など経済的な不安が国民に広がる中、参政党が保守層の『反石破』の流れをくんで躍進した」と話す。「消費税減税や国民負担率削減の訴えが有権者に響き、さらに日本人ファーストの訴えも外国人に対する国民の不安に響いた」と語る。
減税や積極財政の財源はどうするのか。神谷代表はテレビ朝日の番組で問われると、「一番は国債だ」とする一方、「金融市場への影響を考えるということであれば、暗号資産、デジタル通貨の発行も考えていく」と主張。「新しいやり方を考えていかないと、いまのルールの中だけでやるのは少し難しいかなと考えています」と話した。
(鬼原民幸 取材協力:竹本能文)