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バルト三国、欧州送電網接続を準備 ロシアの急な遮断に備え
6月30日、欧州で、エストニア、ラトビア、リトアニアのバルト三国の電力系統の「脱ロシア」の準備が進められている。写真は2017年2月、リトアニア・ヴィルバリスで撮影(2022年 ロイター/Kacper Pempel)
[ビリニュス/ワルシャワ 30日 ロイター] - 欧州で、エストニア、ラトビア、リトアニアのバルト三国の電力系統の「脱ロシア」の準備が進められている。バルト三国は旧ソ連から分離して30年になるが、電力供給をロシアに依存している。関係者によると、ロシアからの送電が止まった場合に欧州連合(EU)の電力系統に組み入れる計画を即実行する態勢を整えているという。
背景には、ロシアのウクライナ侵攻をきっかけにエネルギーのロシア依存への懸念が欧州で高まっていることがある。とりわけバルト三国を神経質にさせているのは、リトアニアが、カリーニングラードへの鉄道貨物輸送制限を巡りロシアの反発を買ったことだ。
3カ国は汎欧州電力系統「ENTSO-E(欧州電力系統運用者ネットワーク)」に2025年までに入ることにしている。しかし、関係者によると、ロシアが送電を停止した場合にENTSO-Eが策定した緊急対応計画の下で直ちに接続することが可能という。
電源周波数はロシアも欧州大陸も50ヘルツ。ただ、ロシアの電力系統はロシア側で運用するのに対し、ENTSO-Eでは各国の電力業者が運用責任を負う。
リトアニアは昨年、ENTSO-Eのメンバーであるポーランドに電力系統を接続する装置を設置し試験に成功した。
バルト三国がEUの電力系統に接続すると、ロシアの飛び地のカリーニングラードの送電網が遮断される。ロシア側は独自の運用が可能か確認する試験を7月2日に予定していたが中止された。