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訂正:自民単独で絶対安定多数、年内の補正成立に意欲 野党共闘実らず

2021年11月01日(月)09時07分

  11月1日、31日に投開票された衆院選は、焦点だった自民党の単独過半数(233議席)獲得が確実な情勢となった。写真は10月31日、都内の開票所で撮影(2021年 ロイター/Androniki Christodoulou)

(表中の公明党、NHK党の議席数を訂正します)

[東京 1日 ロイター] - 31日に投開票された衆院選は、自民党が単独過半数(233議席)を大幅に上回る261議席を獲得し、国会を安定的に運営するための「絶対安定多数」を確保した。NHKや共同通信などが報じた。公示前の276議席から減らしたものの、岸田文雄政権としては国民の信認が得られた形で、年内の補正予算成立を目指す。

共闘した野党の立憲民主党や共産党は議席を減らす一方、加わらなかった日本維新の会が公示前の4倍近い議席を獲得して第3党に躍進した。憲法改正に前向きな自民・公明・維新の3党で、発議に必要な衆院の3分の1議席を確保した。

<甘利幹事長、交代と報道>

岸田首相は党本部で報道陣に対し、「与党で過半数を取り、政権選択選挙で信任をいただいたことは大変ありがたかった。自民党の単独過半数も国民にお認めいただいた。これからしっかり政権運営、国会運営を行っていきたい」と語った。さらにNHKとのインタビューで、「年内に補正予算を成立させたい」とした上で、衆院選挙の期間中に訴えてきた政策を「しっかり盛り込めるような規模を確保しないといけない」と述べた。

4年ぶりとなる今回の衆院選では、新型コロナウイルス対策や今後の経済対策に加え、安倍晋三・菅義偉政権を巡る諸課題についても国民の信認が問われた。

自民党は単独過半数を確保したものの、公示前の議席は下回った。岸田首相は「自民党としては(議席を)大きく減らすことになることが政権、国会運営にどう影響するかは丁寧に対応していかなければならない」と語った。

国内メディアによると、神奈川13区から立候補した甘利明幹事長は小選挙区で立憲民主党の太栄志氏に敗れた。比例復活したものの、岸田首相に幹事長辞任の意向を伝え、首相は預からせていただくと応じたという。読売新聞は1日深夜、岸田首相が甘利氏を交代させる方向で検討に入ったと伝えた。

<立民、受け皿になれず>

立憲民主、共産など野党5党は、全289選挙区のうち約7割の213選挙区で候補者を一本化。135選挙区で事実上の与野党一騎打ちに持ち込んだことで、多くの選挙区が接戦区となった。

NHKなどによると、立憲民主党は公示前の109から議席を減らし、96にとどまった。日本維新の会は41議席と、公示前から4倍近く増えた。

立憲民主党の枝野幸男代表はNHKの取材に対し、野党候補者一本化について一定の成果があったとしつつ、「1票1票積み重ねていく足腰が弱い」と述べ、これを改善しないと「政権交代にたどりつかない」と総括した。

政治評論家(元自民党政調会長室長)の田村重信氏はロイターの取材に対し、「自民党の議席が大きく減らなかったのは、立憲民主党が受け皿になれなかったためだ」と指摘。「維新の会は大阪で受け皿になれたので、議席が大きく伸びた。立民の議席が最終的に減ると、枝野幸男代表の進退が問題になる可能性がある」と語った。

維新の会の松井一郎代表は「与党が過半数を得たという意味で野党は負けたが、われわれは少し議席を増やすことはできた」と話した。党の代表選挙が行われた場合には立候補せず、今の任期で代表を退任する意向を示した。松井氏は昨年、大阪都構想が住民投票で否決された際、自らの進退は衆院選後に示すとしていた。

<ベテランの敗北相次ぐ>

今回の選挙では、与野党ともに長く議席を守ってきた議員が小選挙区で苦戦した。自民党では、東京8区の石原伸晃元幹事長が敗北し、比例復活もかなわなかった。石原氏はNHKの取材に対し「私の力量不足。申し訳ない気持ちでいっぱいだ」と語った。立憲民主党では岩手3区の小沢一郎氏、茨城7区の中村喜四郎氏が小選挙区で落選し、比例復活した。大阪10区の辻元清美副代表は小選挙区で敗れ比例復活もできず落選した。

政治評論家の田村氏は「今回の選挙は、小選挙区で立民の小沢一郎氏、自民党の石原伸晃氏や野田毅氏らが落選しており、世代交代が進んだ」と述べた。

*政党別獲得議席数は以下の通り(NHK)。

政党名

獲得議席 公示前

自由民主党 261 276

公明党 32 29(訂正)

立憲民主党 96 109

日本共産党 10 12

日本維新の会 41 11

国民民主党 11 8

社会民主党 1 1

れいわ新選組 3 1

NHK党 0(訂正) 1(訂正)

諸派 0 1

無所属 10 12

定数 465 461(欠員4)

(竹本能文、山口貴也、杉山健太郎編集:久保信博、田中志保)

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