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独仏英、トランプ政権にイラン金融制裁反対の書簡
12月1日、独仏英3カ国が、トランプ米政権が10月にイランの金融部門を対象に発動した新たな制裁に反対する書簡を送っていたことが明らかになった。写真は、イラン向けの物資を積み込んだ船。ドバイの港で3月撮影(2020年 ロイター/Christopher Pike)
[フランクフルト/ロンドン 1日 ロイター] - 独仏英3カ国が、トランプ米政権が10月にイランの金融部門を対象に発動した新たな制裁に反対する書簡を送っていたことが明らかになった。イラン向けの人道的な貿易を妨げ、同盟国の共通利益を損なうと主張している。ロイターがこのほど書簡内容を確認した。
またドイツ連邦銀行(中央銀行)はイランの銀行がユーロ建て預金ファシリティーを利用できる状態を維持しており、その中には米制裁対象の2行も含まれていることが、中銀のデータや複数の銀行関係者、西側外交官などの取材で判明した。国際金融システムの大部分から排除されているイランにとって、これは金融部門の「命綱」になっているもようだ。
3カ国による米制裁への反対や、ドイツ連銀のこうした措置は、トランプ政権と同盟国の間にイラン外交政策を巡る姿勢の違いが存在することを改めて浮き彫りにした。
トランプ政権は10月8日、イランの18銀行に対する制裁を実施。米国民との取引を禁止したほか、18行と取引する外国銀行に二次的制裁を適用するという内容で、外銀とすれば米国市場へのアクセスを失うばかりか、場合によっては多額の課徴金を課せられかねない事態を意味する。
これに対して3カ国は10月26日付の米政府宛て書簡を通じて、イランも新型コロナウイルスのパンデミックに見舞われている中で、制裁によって同国の一般国民が求める食料や医薬品が「法外な高額」になる恐れがあると指摘。「米国は常に、制裁の標的はイランの政治指導層であり、国民ではないと述べている。その方針を実践することが大事だというのがわれわれの考えだ」と訴えた。
さらに3カ国は、米国が善意に基づいて人道貿易を行っている金融機関について、まず何らかの働き掛けをせず、いきなり制裁を科すことがないよう手を尽くしてほしいと要望した。
米国務省はロイター向けの声明で、制裁がパンデミックに対応した人道支援を妨害しない道筋を確保していきたいとコメントした。
英外務省の報道官は、イラン国民に人道物資を届ける手助けをしている銀行に影響を及ぼすこの制裁に英国は同意していないと説明。フランス外務省はコメントを拒否したが、同国のある外交筋は、この書簡は3カ国がトランプ政権にイラン核合意の枠組みを維持していく意向をはっきり示す取り組みの一環だと述べた。ドイツ政府高官の1人は、人道支援の手段は存続していく必要があり、ドイツはそれを提唱していると強調した。
ドイツ連銀は、イランの銀行が決済目的の口座を維持していると認めたものの、個別行の事情については言及を避けた。