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バイデン次期政権、「米国第一」主義と決別 各国と協調へ

2020年11月25日(水)11時09分

米大統領選で当選を確実にした民主党のバイデン前副大統領(中央)は24日、米国は世界で再び主導的な役割を果たすと述べ、世界のパートナー国と協調する姿勢を示した(2020年 ロイター/JOSHUA ROBERTS)

[ウィルミントン(米デラウェア州) 24日 ロイター] - 米大統領選で当選を確実にした民主党のバイデン前副大統領は24日、米国は世界で再び主導的な役割を果たすと述べ、世界のパートナー国と協調する姿勢を示した。

バイデン氏は前日、外交を担う主要閣僚を発表。国務長官にアントニー・ブリンケン氏、国家安全保障担当の大統領補佐官にジェイク・サリバン氏、国連大使にリンダ・トーマス・グリーンフィールド氏を起用するほか、国土安全保障省長官にオバマ政権で同省副長官を務めたキューバ系米国人弁護士のアレハンドロ・マヨルカス氏、気候変動を担当する大統領特使にはジョン・ケリー元上院議員を指名した。

バイデン氏は外交チームを紹介するにあたり、トランプ大統領が掲げる「米国第一」主義との決別を表明。「米国が再び世界をリードする用意があることを示す陣容だ。世界から身を引かず、再びテーブルの中心に座り、敵に立ち向かい、同盟国を拒絶せず、われわれの価値観のために立ち上がる準備がある」と述べた。

その上で、アジア太平洋地域における同盟を強化するとしたほか、不要な軍事衝突に関与することなく敵対勢力を封じ込め、米国の安全を守ることも確約した。

約20カ国の首脳との電話会談で「米国が世界のリーダーという歴史的役割を再び果たすことにどれほど期待を寄せているか」が強く感じ取られたと語った。

国務長官に指名されたブリンケン氏も、同盟国と協力する必要性を強調し、「米国だけで世界の問題を解決できない。他の国の協力、パートナーシップが必要」と指摘。国連大使に指名されたトーマス・グリーンフィールド氏は「米国は復帰する。多国間主義と外交も復帰する」と述べた。

バイデン政権の外交政策は、主要同盟国との関係改善を目的とした多国間的なアプローチを主眼に置いたものになるとみられている。

トランプ大統領は前日、バイデン次期政権への移行プロセス開始を一般調達局(GSA)のマーフィー長官に許可したと表明。

バイデン氏は米NBCのインタビューで、移行業務が承認されたのを受け、自身の政権移行チームが国家安全保障や新型コロナウイルス流行、ワクチン分配計画などについて、トランプ政権との連携を開始できたと説明。

「これまで思っていたほど大幅な遅延が生じることはなさそうだ」と述べ、「すぐさま多くの協議が行われており、誠実な対応を受けている」とした。

バーニー・サンダース上院議員やエリザベス・ウォーレン上院議員を閣僚に起用する可能性については、どのような選択肢も排除していないと発言。ただ、上院議員として役割が期待されるかもしれないとの認識を示唆した。

上院は、ジョージア州の2議席がいずれも来年1月5日に決選投票となり、民主・共和のどちらが過半数を確保するかまだ判明していない。下院では民主党が過半数を維持したが、議席を減らした。

バイデン氏は「特に重要な人物を上院や下院から引き抜くのは非常に難しい決断だ」とし、「私には非常に野心的な、進歩的なアジェンダがあり、実現には上下両院に非常に強力な指導者が必要になる」と述べた。

ホワイトハウスはバイデン氏に機密情報の説明を毎日行うことを承認、トランプ氏が大統領選での敗北を認めたも同然であることが改めて示された。バイデン氏は23日は説明を受けなかったが、定期的に受ける見込みだと述べた。

同氏はまた、自身が任命した国家安全保障関係の閣僚を紹介した際、上院に指名承認公聴会を速やかに開くよう求めた。共和党議員とは「前進に向け誠実に」協力することに期待を表明し、「米国と世界を癒し、団結させるための取り組みを開始しよう」と呼び掛けた。

ただ、一部の共和党上院議員は閣僚人事に既に難色を示している。マルコ・ルビオ議員はツイッターで、バイデン氏の指名した閣僚は「米国の衰退につながる、上品で秩序だったつなぎ政権になる」と投稿した。

大統領選の激戦州となったペンシルベニア州はこの日、前日のミシガン州に続き、バイデン氏の勝利を承認した。また、ネバダ州の最高裁判所も同州でバイデン氏が勝利したと確定。これを受け、知事が最終承認を行う。

*内容を追加します。

ロイター
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