ニュース速報

ワールド

トランプ米大統領、政権移行業務を承認 法廷闘争は継続

2020年11月24日(火)14時17分

11月23日、トランプ米大統領は、バイデン次期政権への移行プロセスを開始することを一般調達局(GSA)のマーフィー長官に許可したと明らかにした。ホワイトハウスで20日撮影(2020年 ロイター/Carlos Barria)

[ワシントン/ウィルミントン 23日 ロイター] - トランプ米大統領は23日、バイデン次期政権への移行プロセスを開始することを一般調達局(GSA)のマーフィー長官に許可したと明らかにした。ただ、大統領選の結果を覆すため、法廷闘争を続ける姿勢も改めて示した。

大統領選の激戦州ミシガン州ではバイデン氏の勝利が確定。選挙結果を覆そうとしているトランプ大統領への逆風が強まっている。

トランプ氏は敗北を認めていないが、民主党上院トップのシューマー院内総務は「トランプ氏が出せる敗北宣言に最も近いものではないか」とコメントした。

<バイデン陣営「数日中に協議開始」>

GSAのマーフィー長官は23日、大統領選で勝利を確実にした民主党のバイデン前副大統領に書簡を送り、政権移行のプロセスを正式に開始できると通知した

トランプ大統領もツイッターに、GSAが政権移行開始を承認することを許可したと投稿した。

GSA長官が大統領選の勝者を認定しない限り、バイデン陣営には予算や政府施設、情報などが提供されないため、議会や財界関係者は認定を急ぐよう求めていた。

トランプ氏はツイッターで「われわれは訴訟を精力的に続ける。善戦が続くだろう。そして勝つと信じている。しかし、我が国の最善の利益のため、エミリー(・マーフィー長官)とそのチームに最初のプロトコルに関して必要なことを行うよう提言し、私のチームにもそうするよう指示した」と述べた。

今回の決定により、バイデン氏の政権移行チームは公費と政府施設の利用が可能になるほか、国家安全保障に関する情報も定期的に提供される。

バイデン氏の政権移行チームは「数日中に新型コロナウイルス対策について連邦政府当局者との協議を開始する」と表明。国家安全保障などの問題についても協議を始める方針を示した。

GSAのマーフィー長官は、今回の決定について「私が1人で決めたものだ」と書簡で表明。「ホワイトハウスを含め、行政府から、今回の決定の延期や迅速化について直接・間接の圧力は受けていない」と述べた。

<法廷闘争は継続>

トランプ氏の顧問は、今回の決定について、敗北宣言ではないと主張しているが、ホワイトハウスも政権移行業務を開始する時期が来たと判断したようだ。

バイデン氏は23日、国務長官にアントニー・ブリンケン氏、国家安全保障担当の大統領補佐官にジェイク・サリバン氏、国連大使にリンダ・トーマス・グリーンフィールド氏を起用する人事を発表した。

トランプ政権の関係者はロイターに対し、バイデン氏の政府機関審査チームが、早ければ24日にも現政権関係者との協議を開始する可能性があるとの見方を示した。

オバマ前政権による2008年の商務省での引き継ぎ作業を主導した民主党のドン・ベイヤー下院議員は、マーフィー氏による承認の遅れは「大きな犠牲を伴い不必要だった」と批判。トランプ氏は残る任期中になお多くの害を引き起こす可能性があると警告した。

上下院の民主党指導部は23日、トランプ氏が10月に署名した大統領令によって政権交代前の最後の数週間で政府機関の職員が大量解雇され、トランプ氏に忠誠心のある人材が配置される可能性があると述べて警鐘を鳴らした。

一方、政権移行が正式に開始し、ミシガン州でバイデン氏の勝利が認定されてトランプ氏が結果を覆す余地がさらに狭まったことを受け、共和党内でトランプ氏に敗北を認めるよう求める声がさらに強まる可能性がある。

ミシガン州議会の共和党指導部は州の選挙結果を尊重すると表明。トランプ氏側は州議会がトランプ支持者を「選挙人」に指名し、選挙人の正式な投票でトランプ氏に票を投じる可能性に最後の望みをつないでいた可能性があるが、これも打ち砕かれた。

トランプ氏は選挙日以来、顧問らとの協議を続け、何回かゴルフに出掛けているが、記者の質問には答えず、大統領としての通常の職務もおろそかになっている。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=下落、予想下回るGDPが圧迫

ビジネス

再送-〔ロイターネクスト〕米第1四半期GDPは上方

ワールド

中国の対ロ支援、西側諸国との関係閉ざす=NATO事

ビジネス

NY外為市場=ドル、対円以外で下落 第1四半期は低
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 3

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP非アイドル系の来日公演

  • 4

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 7

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    やっと本気を出した米英から追加支援でウクライナに…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中