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バレット氏、米最高裁判事就任早々に試練 大統領選などで難しい対応

2020年10月28日(水)09時31分

 米連邦最高裁判事に正式就任した保守派のエイミー・コニー・バレット氏(写真)は、早速厳しい試練に直面する。大統領選関連や医療保険制度改革法(オバマケア)などを巡る訴訟で、難しい対応を迫られるからだ。ホワイトハウスで26日撮影(2020年 ロイター/Jonathan Ernst)

[ワシントン 27日 ロイター] - 米連邦最高裁判事に正式就任した保守派のエイミー・コニー・バレット氏は、早速厳しい試練に直面する。大統領選関連や医療保険制度改革法(オバマケア)などを巡る訴訟で、難しい対応を迫られるからだ。

最高裁はバレット氏の判事就任前から、新型コロナウイルスのパンデミックを背景とした大統領選のルールに関する幾つかの訴えを処理している。26日には、野党・民主党が提起したウィスコンシン州での郵便投票の期限延長要請について、保守派5人の判事が反対、リベラル派3人が賛成し、却下という形になった。

一方先週には、共和党がペンシルベニア州の大統領選投票日後に届いた郵便投票の集計を制限すべきだと提訴した問題では、最高裁の判断が4対4と真っ二つに割れ、バレット氏の就任が今後にいかに大きな影響を及ぼすかが示された。

こうした中で、バレット氏は26日夜にホワイトハウスで開かれた式典で、政治から独立して振る舞うと改めて約束。「政治的な志向と判事としての任務を区別することで、司法の独自性が生まれる」と強調した。

ただトランプ大統領があえてこの時期にバレット氏を最高裁に送ったのは、大統領選を巡る訴訟で最高裁がトランプ氏に有利になる判決を下すための決定的な一票をバレット氏が投じてくれると期待したからだ。

カリフォルニア大学アーバイン校法科大学院で選挙法を研究するリック・ハセン氏は、大統領選からこれほど近い時期に新たな判事が生まれた事例は他に考えられず、バレット氏にとって「早速判事として洗礼を受けることになる」と指摘した。

ロヨラ大学法科大学院のジェシカ・レビンソン教授は、バレット氏はそうした政治的圧力によって困難な立場に置かれており、ことさら慎重に行動するのではないかとみている。

レビンソン氏は「バレット氏は長ければ40年にわたって判事を続ける可能性がある。その最初の大きな判断で、自身の独立性に疑問を抱かせる態度を取りたがるとは思えない」と話した。

大統領選後の11月10日には、オバマケアを廃止すべきかどうかの審理も行われる。最高裁は2012年と15年に2回、オバマケアを妥当とする判断を示した。賛成、反対の色分けはそれぞれ5対4と6対3だ。

バレット氏は以前、この2つの判決を批判しており、民主党は同氏がオバマケア廃止に賛成するのではないかと懸念して就任に反対してきた。もっとも法律専門家によると、今回最高裁でオバマケア廃止が多数意見になる公算が乏しいだろうという。

ロイター
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