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ファイザーとJ&J、ワクチン試験参加者維持でFDAと協議

2020年10月23日(金)14時59分

 10月22日、米製薬大手ファイザーとジョンソン・エンドジョンソン(J&J)は、米食品医薬品局(FDA)から新型コロナウイルスワクチンがいったん何らかの使用を承認された後も、臨床試験に向けて集めていたボランティアをそのまま維持したり、新たに集めたりすることについて、FDA諮問委員会から見解を求める構えだ。メキシコ・トルカで2018年10月撮影(2020年 ロイター/Edgard Garrido)

[22日 ロイター] - 米製薬大手ファイザーとジョンソン・エンドジョンソン(J&J)は、米食品医薬品局(FDA)から新型コロナウイルスワクチンがいったん何らかの使用を承認された後も、臨床試験に向けて集めていたボランティアをそのまま維持したり、新たに集めたりすることについて、FDA諮問委員会から見解を求める構えだ。

承認後に引き続き行われる臨床試験では、通例の大規模な臨床試験と同様にプラセボ(偽薬)が与えられる可能性があることを参加者に告知することが前提になるという。

22日のFDA側との協議に先だって、2社が書簡で表明した。両社はそれぞれ、ワクチン候補の後期臨床試験に進んでいる。世界各地に新型コロナワクチン接種を行き渡らせるためには、複数の種類が必要になる可能性が高い。

J&Jによると、当初のワクチンが緊急使用の承認を得た場合などに、集めておいたボランティアが続行される臨床試験に参加せず、そのワクチンの接種を望む可能性がある。臨床試験への参加意向を取り消す可能性もあることも懸念されるという。

ファイザーによると、承認後も続行される臨床試験では少なくとも一部のボランティアには、偽薬が接種されていることを知らせるのが道義的な責務かもしれないとしている。同社はこれまでは、緊急承認が出た後は集めていたボランティアに優先的に接種させることを提案していた。

FDAは製薬会社から後期臨床試験の暫定データを提供されてから、新型コロナワクチンの緊急使用を許可するか、臨床試験で追加データをさらに求めるかを検討する流れになる。

FDAが今月発表した緊急使用の指針では、製薬会社はそうした承認が出てからも、できる限り長く臨床試験を続けてデータを集め続け、できるだけ早期の正式承認の申請に向けて努力し続けるべきだとされている。

今回の2社の動きは、有力なワクチン開発企業や、大規模な臨床試験を始めたばかりか、計画している段階の開発企業が直面するジレンマを浮き彫りにする。

J&Jは、被験者の維持を目的とする多数の措置を検討中だとし、「FDAと会合で、認められる選択肢について意見共有できれば助かる」と述べた。

ロイター
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