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新型コロナ感染、都内で過去最多286人 東京発着は「GoTo」対象外

2020年07月16日(木)23時29分

 7月16日、東京都で過去最多となる286人の新型コロナウイルス感染が確認された。夜の街で感染対策を呼びかける職員、池袋で9日撮影。(2020年 ロイター/Issei Kato)

[東京 16日 ロイター] - 東京都で16日、過去最多となる286人の新型コロナウイルス感染が確認された。大阪や神奈川でも新規感染者が増え、全国的に感染が拡大する中、22日から開始する観光支援策「Go Toトラベル」について、政府は東京発着を対象外とする案をこの日の新型コロナウイルス感染症対策分科会に示し、了承を得た。

<「Go To」は東京除外>

西村康稔経済再生担当相は分科会後の会見で、「Go Toトラベル」から東京発着を除外することについて「了解いただいた」と語った。分科会の尾身茂会長は現在の感染状況について「爆発的な感染拡大ということにはなっていない」との認識を示した。

政府はこれまで、感染防止と社会、経済活動引き上げの両立を図るとして、観光や飲食を支援する「Go Toトラベル」について、予定通り22日から行う方針を示していた。

<広がる感染、大阪66人・神奈川48人>

東京都の小池百合子知事は16日午前、新型コロナウイルスの新規感染者について「途中経過だが、280人台に乗せるだろうと聞いている」と述べ、検査数も四千数百台とこれまでで最大だったことを明らかにした。

東京都はすでに15日、新型コロナの感染状況について4段階の警戒度で最も深刻な「感染が拡大していると思われる」に引き上げた。感染者数は15日までで累計8354人。検査の陽性率(過去7日間の平均)は14日時点で6.0%。

感染は全国でも広がっており、15日の感染者は1日で450人規模と緊急事態宣言解除後では最多となった。16日も大阪で66人、神奈川で48人の新規感染者が報告されたという。

<厳しい状況から脱却できれば>

菅官房長官は16日午前の会見で「Go Toトラベル」について感染症の専門家の意見も聞きながら適切に対応していく考えを示した。一方、「観光や飲食に支援を行うことで社会、経済活を回復させ、地域を厳しい状況から脱却できればと考えている」とも述べ、予定通り実施したい考えをにじませていた。

政府は16日夕、新型コロナウイルス感染症対策分科会を開催し、首都圏の感染状況や、「Go Toトラベル」事業をどう進めるかについて、専門家の意見を聞く。西村再生相は16日の参院予算委員会で「Go To」事業の開始に関しては様々な意見があるとした上で「意見によっては様々な対応があり得る」と述べた。

西村再生相はまた、感染が拡大した場合の自身の責任について「当然、感染拡大を防ぐ責任がある。同時に感染拡大防止と経済活動の両立を図る責任がある」と述べた。

<緊急事態には該当せず>

菅官房長官は16日午後の会見で、東京都で286人の感染が確認されたことに関連して、総合的に判断して緊急事態宣言を発出する状況には該当しないとの考えを示した。医療提供体制も、全国でピーク時に向け1万9000床を確保しており、「逼迫しているとは考えられない」と強調した。

一方、この日の参議院予算委員会に参考人として出席した東京大学先端科学技術研究センター名誉教授の児玉龍彦氏は、新宿区に新型コロナウイルスのエピセンター(感染集積地)が形成されつつあると指摘。感染拡大防止に国の総力をあげないと「ニューヨークの二の舞になる」と述べた。

*内容を追加しました。

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