ニュース速報

ワールド

ブラジル大統領、コロナ感染拡大でも経済活動継続訴え 反発強まる

2020年03月30日(月)15時10分

 3月29日、ブラジルのボルソナロ大統領(中央)は、新型コロナウイルス対策で経済活動を停止すべきではないとの姿勢をあらためて鮮明にした。写真は7日、ブラジリアで撮影(2020年 ロイター/Ueslei Marcelino)

[ブラジリア 29日 ロイター] - ブラジルのボルソナロ大統領は29日、首都ブラジリア郊外の低所得地域で青空市場を視察し、行商人と交わした会話をフェイスブックとツイッターに投稿するなどして、新型コロナウイルス対策で経済活動を停止すべきではないとの姿勢をあらためて鮮明にした。

ブラジルでは新型コロナ感染者が同日までの7日間で3倍近く増え、4256人となったが、大統領は高齢者だけが死ぬ「ちょっとした風邪」に過ぎないと主張し、深刻な感染症との見方を否定してきた。国内では136人が既に新型コロナ感染により死亡している。

大統領府がソーシャルメディアを通じて展開する「ブラジルは止まってはならない」と題するキャンペーンには、州政府や政治家、保健当局、さらには保健相が反発。ただ、大統領はこの日も、国民は新型コロナに感染しないよう気をつけながらも稼ぎを得るために働き続ける必要があるとの考えに変わりはないと強調、厳格な封鎖(ロックダウン)に踏み切った州政府などを批判した。

リオデジャネイロ地裁は前日、連邦検察の申し立てを受け、この「ブラジルは止まってはならない」キャンペーンを禁じた。 同地裁の判事は、国家レベルで新型コロナ流行への対応策が存在しないのに、国民に自宅待機をやめて外出するよう呼び掛けるのは認められないとの判断を示した。

追い打ちをかけるように、ツイッターは、ボルソナロ氏が公式アカウントに投稿した青空市場の行商人と話している動画を、規約違反を理由に削除。保健当局の勧告に反し、人々の新型コロナウイルス感染リスクを助長する可能性があるコンテンツについて最近、世界的に規約を変更したと説明した。

ボルソナロ氏の独断行動にはマンデッタ保健相も反対。政府筋によると、28日の閣議でマンデッタ氏は大統領に対し、新型コロナの経済への影響を抑えるために高齢者と病人だけを隔離させるという案は擁護できないと訴えた。また、閣議後に同相は記者会見で、感染者数の急増に現行の医療体制では対応できないとし、国民に自宅待機を呼び掛けた。

それでもなお、ボルソナロ氏は29日、記者団に、全ての専門職や非公式な経済部門の労働者に対し、家計にとって所得が不可欠の場合に労働を認める大統領令を検討していると述べ、考えを改めるそぶりはみせていない。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米GDP、1─3月期は予想下回る1.6%増 約2年

ワールド

米英欧など18カ国、ハマスに人質解放要求

ビジネス

米新規失業保険申請5000件減の20.7万件 予想

ビジネス

ECB、インフレ抑制以外の目標設定を 仏大統領 責
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP非アイドル系の来日公演

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 6

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 7

    やっと本気を出した米英から追加支援でウクライナに…

  • 8

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 9

    自民が下野する政権交代は再現されるか

  • 10

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中