ニュース速報

ワールド

イラン、新型ウイルス拡大で孤立深まる イタリアさらに感染増

2020年02月26日(水)06時57分

イランで25日、新型コロナウイルス感染による死者が16人に増加し、中国以外では最多になった。このほか、感染者が増えている韓国やイタリアは感染拡大に向けた緊急措置を強化した。テヘランで20日撮影(2020年 ロイター/WANA NEWS AGENCY)

[ドバイ/北京 25日 ロイター] - イランで25日、新型コロナウイルス感染による死者が16人に増加し、中国以外では最多になった。このほか、感染者が増えている韓国やイタリアは感染拡大に向けた緊急措置を強化した。

中国の湖北省武漢の野生動物が感染源と疑われる新型ウイルスは、中国国内で感染者約8万人、死者約2700人に被害が拡大。ただ、世界保健機関(WHO)は今月2日以降は感染は減少しているとの認識を示している。

ただロイターのまとめによると、中国本土外では約30の国・地域に感染が広がり、死者も約30人に上っている。特にイラン、イタリア、韓国での拡大に懸念が高まっている。

米国による経済制裁の中、イランではさらなる孤立化の恐れが出ており、複数の国が航空便の運航を停止したほか、オマーンの港ではイランとの交易を停止。国境を封鎖する周辺国も出ている。

感染者は35人増加し、計95人になった。前日には感染疑い例が900人前後に達しているとしていた。

ロウハニ大統領はテレビ演説で新型ウイルスを「招かれざる不吉な客」とした上で「われわれはこの状況を切り抜ける」と鼓舞した。

こうした中、新型ウイルス感染防止に取り組んでいたハリルチ保健次官が動画を通じ、ウイルスに感染したと公表。また、マフムード・サデギ議員もこの日、ツイッターへの投稿で「新型ウイルスの陽性反応が出た。生き続けることに大きな望みは抱いていない」と明らかにした。

新型ウイルスがこのほど初めて確認されたアフガニスタン、バーレーン、イラク、クウェート、オマーンでは、全ての感染者がイランを訪問していた。

<イタリアは欧州最悪の被害>

イタリア当局は25日、新型コロナウイルスの患者4人が死亡したと発表。これで国内の死者は11人になった。また当局によると、南部シチリア島でも感染者を確認。イタリアではミラノのあるロンバルディア州と隣接するベネト州で感染が広がっているが、首都ローマ以南では初めて。

ロンバルディア州では新たに3人が死亡。亡くなった3人はいずれも80代の高齢者という。25日時点で、国内での感染者は322人に達した。

WHOはイタリアについて、人から人への感染阻止に注力しており、拡大防止に向けた適切な措置を取っていると述べた。

一方、25日と発表されていたWHOによるイラン訪問は遅れていると指摘。出発時期は未定だという。イランのWHO事務所が当局と連絡を取り合っているとした。

<米当局は備えを呼び掛け>

新型ウイルスが世界経済に与える打撃への懸念で、この日も世界的な株安は続き、各国市場は約2カ月ぶりの安値まで下落した。

米疾病対策センター(CDC)は、新型コロナウイルスの感染が中国外に広がっていることを踏まえ、米国内での感染拡大に備えるよう警戒を促した。

CDC国立予防接種・呼吸器疾患センター(NCIRD)のナンシー・メソニエ所長は「他国での感染拡大に関する過去の週間データを受け、われわれの懸念は深まり、米国で地域感染が発生するという観測が高まった」と述べた。

現時点で不明なのは感染拡大が始まる時期、さらにどの程度深刻な流行になるかで、「日常生活に深刻な混乱が生じる可能性がある」と警鐘を鳴らした。

アザー米厚生長官も、新型コロナウイルスの米国内の感染が今後増えるとの見方を示し、議会に25億ドル規模の対策費を要請した。

こうした中、米製薬大手ギリアド・サイエンシズは抗ウイルス薬「レムデシビル」について、新型ウイルスに感染した入院患者に対する初の臨床試験を始めたと発表した。

臨床試験の対象者はクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で感染し、帰国した米国人だという。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

G7声明、日本の主張も踏まえ為替のコミット再確認=

ビジネス

訂正(発表者側の申し出・17日配信の記事)-トヨタ

ビジネス

UBS、新たな人員削減計画 クレディ・スイス統合で

ビジネス

G7財務相、イラン制裁やロシア凍結資産の活用で協力
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画って必要なの?

  • 3

    【画像】【動画】ヨルダン王室が人類を救う? 慈悲深くも「勇ましい」空軍のサルマ王女

  • 4

    パリ五輪は、オリンピックの歴史上最悪の悲劇「1972…

  • 5

    人類史上最速の人口減少国・韓国...状況を好転させる…

  • 6

    アメリカ製ドローンはウクライナで役に立たなかった

  • 7

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 8

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 9

    対イラン報復、イスラエルに3つの選択肢──核施設攻撃…

  • 10

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 3

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...当局が撮影していた、犬の「尋常ではない」様子

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 7

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 8

    「もしカップメンだけで生活したら...」生物学者と料…

  • 9

    温泉じゃなく銭湯! 外国人も魅了する銭湯という日本…

  • 10

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    巨匠コンビによる「戦争観が古すぎる」ドラマ『マス…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中