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焦点:米中貿易、ほぼ全面的な関税が「新標準」化の恐れ

2019年10月17日(木)09時42分

 10月14日、トランプ米大統領は、中国との貿易協議における第1段階の合意を「これまでで最も素晴らしく、大規模な取引だ」と自画自賛し、中国が最大500億ドルの農産品購入を受け入れたと胸を張った。写真は上海で7月30日撮影(2019年 ロイター/Aly Song)

[ワシントン 14日 ロイター] - トランプ米大統領は、中国との貿易協議における第1段階の合意を「これまでで最も素晴らしく、大規模な取引だ」と自画自賛し、中国が最大500億ドルの農産品購入を受け入れたと胸を張った。ただ文書で正式合意されたわけでなく、中国製品向けの数千億ドル規模の関税は残したままで、今後は両国とも輸入関税を課すのが「新標準」となる懸念が生じつつある。

ホワイトハウスの記者会見は今回の部分合意にはほぼ言及しておらず、中国政府の公式声明からは、同国側が実際には何も合意していないと考えている様子がうかがえる。

そもそも関係者の話では、貿易戦争の発端で米政府の不満の核心となっている中国の国家主導型経済モデルは、部分合意には解決策がほとんど含まれていない。このモデルに基づき、中国は外国企業に技術移転を強要し、不公正な補助金を支出しているほか、世界的な生産設備過剰を助長している。

一方で米財務省の国際問題担当次官を務めた、PGIMフィクスト・インカムのチーフエコノミスト、ネーサン・シーツ氏は、米国はこの問題で何も柔軟性を見出していないと指摘。部分合意が着地点になれば、中国に相当な水準の関税を本当に恒久的に課すのかという点が問題になるとの見方を示した。

貿易専門家や中国市場のアナリストによると、米中は5月がそうだったように結局個々の問題で11月半ばに予定される首脳会談までに折り合えない可能性が大きい。また第1段階の正式合意が成立したとしても、中国はより困難な第2段階に必要な譲歩には気乗りせず、むしろ米国から高い関税を適用される方を選ぶだろうという。

パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のモハメド・エラリアン氏は2009年、金融危機後の低成長、低インフレ局面を「新標準」と描写したが、それから10年を経てそうした世界が永遠に続く恐れが出てきた。米国が大半の中国製品に高い関税を課し、中国もほとんどの米製品に関税を発動することで世界経済の足を引っ張る半面、中国の根本的な行動変化は起きないからだ。

米戦略国際問題研究所(CSIS)の中国貿易専門家スコット・ケネディー氏は、部分合意は両国にとって当面は状況を前に進めるには十分とはいえ、いずれトランプ政権が協議を放棄し、中国企業は制約を受けなくなると予想した。

米中貿易戦争が始まるまでは、世界経済の前途は非常に明るかった。17年終盤といえば、トランプ政権が投資促進や成長てこ入れのための包括的な減税を実施する直前で、欧州は金融危機後の低迷から脱却し、中国経済は減速しながらも底堅かった。

国際通貨基金(IMF)は17年10月、18年の世界経済成長率が3.7%に達すると予想していた。

ところが貿易戦争開始以降、中国は商用機を除くほとんどの米国からの輸入品、計1100億ドル相当に関税を課している。米国は年間約5500億ドルとなる中国からの輸入品のうちおよそ3750億ドルに関税を発動した。

そのため、IMFのゲオルギエワ新専務理事は今月、貿易摩擦によって世界経済が「同時的な減速」に陥ったと警告するとともに、主に投資を冷え込ませたり市場に打撃を与える不確実性を通じて、これまでに発表された関税が世界総生産を7000億ドル分下押ししたと述べた。[nL3N26T4G3]

米連邦準備理事会(FRB)も同様に、貿易摩擦で世界総生産は8500億ドル、1%相当が失われつつあるとの見通しを示している。

逆に今回の部分合意で、トランプ政権が15日に予定していた中国向け制裁関税引き上げの見送りは、世界総生産へのマイナス効果を0.1%ポイント和らげるに過ぎない、とオクスフォード・エコノミクスは試算した。

ブルッキングス研究所の中国専門家デービッド・ダラー氏は「(トランプ政権は)他の関税を維持することで中国に対して強硬的で、決して屈しないと主張できる。さらなる話し合いや中国市場の開放に向けた展望はそれほど大きくないように思われる」と話した。

(Heather Timmons記者、David Lawder記者)

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