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スイス中銀、金融引き締め政策の検討は時期尚早=メクラー理事
11月8日、スイス国立銀行(中央銀行)のメクラー理事(写真)は、世界金融危機の発生から10年が経過したものの、スイス中銀が金融引き締めを検討するのは時期尚早との考えを示した。写真はスイスの首都ベルンで6月撮影(2018年 ロイター/Arnd Wiegmann)
[ジュネーブ 8日 ロイター] - スイス国立銀行(中央銀行)のメクラー理事は、世界金融危機の発生から10年が経過したものの、スイス中銀が金融引き締めを検討するのは時期尚早との考えを示した。
8日の中銀のイベント向けに準備された原稿での発言。
同理事は、世界の多くの地域では力強い経済成長を背景に一部の中央銀行が段階的な引き締め措置を取り始めたと指摘しながらも、「ただスイス中銀にとっては、そうした措置を検討するのはなお時期尚早だ。経済動向は良好なものの、インフレ圧力は依然弱い。さらに、スイスフランは過大評価されており、外為市場の状況は引き続き不安定だ」と述べた。
また、経済の好転にもかかわらず、大半の先進国ではインフレが低水準にとどまっていると指摘。その理由について、物価安定に焦点を合わせた金融政策でインフレ期待がしっかりと抑制されていることに加え、物価の抑制に寄与している可能性があるグローバル化に関連した構造要因を挙げた。
デジタル化の影響も強調し、米国の小売り業界でネット販売の伸びが価格調整ペースをほぼ倍に加速させている可能性があるとの研究結果を引用した。
「スイスでも、過去数年間に価格調整ペースが速まっているトレンドが見られる。従って、将来的には、スイスフランの大幅な上昇や下落といったショックが、より急速にインフレに波及しかねない」と述べた。
さらに、為替介入は中銀の金融政策実施における重要なツールであることを考慮し、中銀は外為市場の動向を注意深く見守っていると述べた。
指標金利のLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)からの切り替えについては、短期金融市場参加者に円滑な移行を改めて呼び掛けた。