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サウジ、石油禁輸を再現する意向はない─エネ相=タス通信
10月22日、サウジアラビアのファリハ・エネルギー相(写真)は、西側の石油消費国に対し、1973年のような石油禁輸措置を取る意向はないとし、原油は政治とは別物との考えを示した。ニューデリーで15日撮影(2018年 ロイター/Adnan Abidi)
[ロンドン 22日 ロイター] - サウジアラビアのファリハ・エネルギー相は22日、西側の石油消費国に対し、1973年のような石油禁輸措置を取る意向はないとし、原油は政治とは別物との考えを示した。
サウジを巡っては、反体制記者ジャマル・カショギ氏の殺害を巡って危機が深まっている。
エネルギー相は、1973年のような石油禁輸措置が再現される可能性はあるかとのタス通信の質問に「その意向はない」と答えた。
また、「事件は過ぎ去る。しかしサウジアラビアは非常に責任のある国であり、過去何十年にもわたり、われわれは石油政策を責任ある経済的ツールとして使用し、政治から分離してきた」と述べた。
米議会の複数の議員は21日、サウジのムハンマド皇太子がカショギ氏殺害を指示したとの考えを示した。一方、トランプ米大統領はより慎重な見方を示している。
一部の議員らはサウジに対する制裁の発動を示唆しているが、サウジは「何らかの措置を受けた場合はそれを上回る措置で報復する」と警告している。
ファリハ氏は「エネルギー相としての私の役割は、政府の建設的で責任ある役割を果たし、結果的に世界のエネルギー市場を安定させ、世界の経済発展に資することだ」と強調した。
原油価格が上昇し過ぎれば、世界経済が減速し、リセッション(景気後退)の引き金になると指摘。しかし、来月には対イラン制裁が本格化することから、原油価格が上昇しない保証はないとし、原油価格の1バレル=100ドル超えは回避できるかとの質問に「保証することはできない。他の生産国に起きることを予測できないからだ」と答えた。
「対イラン制裁があり、イランの輸出がどうなるのか誰にも分からない。次に、リビアやナイジェリア、メキシコ、ベネズエラなどの生産が減少する可能性がある」と説明。「日量300万バレルが消失すればわれわれにカバーすることはできない。原油の備蓄を使わざるを得ない」と述べた。
同相はサウジが間もなく原油生産を現行の日量1070万バレルから1100万バレルに引き上げることを明らかにした。
サウジには1200万バレルまでの増産能力があり、アラブ首長国連邦(UAE)は日量で20万バレルの増産が可能との見方も示した。
「われわれの増産余力は比較的限られており、その大部分を使用している」と述べた。
来年の世界の原油供給については、ブラジル、カザフスタン、米国の生産が寄与する可能性があるとした上で、「しかし、対イラン制裁の本格化に加えて生産が減少する国々が出てくれば、われわれは余剰能力を使い果たすだろう」と述べた。
*内容を追加しました。