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サウジ、記者不明問題で制裁受ければ報復すると警告

2018年10月15日(月)11時46分

 10月14日、サウジアラビアの反政府記者ジャマル・カショギ氏(写真)がトルコで行方不明になった問題を巡り、サウジ政府は、経済制裁の発動警告を含むいかなる脅迫も「断固拒否」すると表明、制裁を受ければ報復すると警告した。提供写真(2018年 ロイター/Middle East Monitor)

[ドバイ/ワシントン 14日 ロイター] - サウジアラビアの反政府記者ジャマル・カショギ氏がトルコで行方不明になった問題を巡り、サウジ政府は14日、経済制裁の発動警告を含むいかなる脅迫も「断固拒否」すると表明、制裁を受ければ報復すると警告した。

カショギ氏は米国を拠点とする記者で、米紙ワシントン・ポストに論説を寄稿していた。今月2日にイスタンブールのサウジ領事館訪問後に行方不明となっており、館内で殺された疑いが指摘されている。サウジはこれを否定している。

トランプ米大統領はカショギ氏が領事館内で殺害されたのが事実ならばサウジに「厳罰」を科すと警告しているが、同国への武器輸出を停止すれば米国は自らを罰することになるとの認識も示している。

国営サウジ通信(SPA)によると、サウジの当局者は「経済制裁の発動警告や政治的圧力、あるいは事実に反する疑惑を繰り返し取り上げることを通じたいかなる脅迫や中傷の試みも断固拒否する」と表明。

また、「何らかの措置を受けた場合はそれを上回る措置で報復する」とした。

ワシントンのサウジ大使館はその後ツイッターで、立場を明確化することが目的として、米国などの諸国がこの問題で「急いで結論を出すことは差し控えている」ことに謝意を表す投稿をした。

英国とフランス、ドイツの外相は14日、この問題を「厳粛に受け止めている」との共同声明を発表。「真相解明に向けた信頼できる調査が必要」と強調した。今後取り得る措置には言及しなかった。

投資家の間では、今回の事件によってムハンマド・ビン・サルマン皇太子の下でサウジ政府の政策が予測不可能になったとの見方が一層強まる可能性があるとの懸念が広がっている。

欧米の複数のメディアや企業トップは、サウジが今月23日から首都リヤドで開く「砂漠のダボス会議」として知られる経済投資フォーラムへの参加見送りを決めている。

米JPモルガンは14日、ジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)が同フォーラムへの参加を取りやめたと発表。米フォード・モーターもまた、ビル・フォード会長が同フォーラムへの出席も含めた中東訪問を中止したと明らかにした。両社ともにカショギ氏の事件と関係があるかどうかについてはコメントしていない。

米国家経済会議(NEC)のカドロー委員長は米ABCテレビの番組で、ムニューシン財務長官は依然、同フォーラムに参加予定だが予定が変わる可能性もあると述べた。

ロイター
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