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トランプ氏、新貿易協定の成果アピール 「数十万の米雇用支える」
10月1日、トランプ米大統領はカナダとメキシコとの間で合意に達した北米自由貿易協定に代わる「米国・メキシコ・カナダ協定」が、米国の製造業や農業、ハイテク、金融サービスなど幅広い分野で雇用を生み出すエンジンになるとの考えを示した(2018年 ロイター/LEAH MILLIS)
[ワシントン 1日 ロイター] - トランプ米大統領は1日、カナダとメキシコとの間で合意に達した北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」について、米国の労働者にとっての勝利だと述べた。
米国とカナダは30日、NAFTAの再交渉で合意にこぎつけた。新協定はメキシコを含む3カ国の枠組みを維持し、名称が「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」に変更された。
米国に一段の雇用をもたらす一方で、カナダとメキシコの対米輸出には今以上の制限が課せられる内容となった。
トランプ氏は、ホワイトハウスでスピーチし、「こうした措置が多くの、何十万もの米国の雇用を支える」と強調。さらに多くの雇用を創出するとし、そうした職が「質の高い仕事だ」と述べた。
また「最も近代的で、時代に合い、かつバランスの取れた貿易協定」と評価し、11月末までに署名する考えを表明した。
新協定により米国の雇用が実際に増えるのは数年先になるとみられるが、トランプ氏は11月6日の中間選挙に向け、共和党のために今回の成果をアピールすることができる。
一方、カナダのトルドー首相は、交渉が妥結したことで先行き不透明感が払拭されたとした上で、譲歩せざるを得なかったことも認めた。カナダの乳製品市場を米酪農業者に一段と開放することをカナダが受け入れたことから、国内酪農業界からは批判が持ち上がっている。
トルドー首相は会見で「われわれは妥協の必要があった。他よりも難しい妥協もあった」と振り返り、交渉は「簡単ではなかったが、カナダにとって良い日になった」と述べた。
米国、カナダ、メキシコの株式市場は1日、買いが優勢となったが、その後やや押し戻された。カナダドルは米ドルに対して一時4カ月ぶり高値を記録。メキシコペソも対ドルで約2カ月ぶり高値をつけた。
新協定では、トランプ政権が安全保障を理由に検討している自動車への追加関税について、カナダとメキシコは当面は適用除外となる。
部品の40%以上を賃金が高い地域で製造することが義務付けられたため、自動車各社は米国やカナダでの生産を増やすため、今後この地域への投資を増やすことを余儀なくされる。
特に、欧州やアジアの自動車メーカーは、サプライチェーンを米国とカナダにシフトする必要が出てくる可能性がある。
トランプ氏は、鉄鋼・アルミニウムの追加関税について、カナダとメキシコが輸出枠など何か措置を講じない限りは、現行通り適用対象とするとした。
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