ニュース速報

ワールド

北朝鮮の金委員長、トランプ氏との再会談望む 非核化加速へ=韓国大統領

2018年09月21日(金)08時37分

9月20日、韓国の文在寅大統領(左)は北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との会談後、金氏が非核化の加速に向け近くトランプ米大統領との2回目の会談を行うことを望んでいることを明らかにした。写真は20日、北朝鮮で開かれた昼食会で撮影(2018年 ロイター/Pyeongyang Press Corps/Pool via REUTERS)

[ソウル 21日 ロイター] - 平壌で北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との会談を行った韓国の文在寅大統領は20日、金委員長が非核化の加速に向け近くトランプ米大統領との2回目の会談を行うことを望んでいることを明らかにした。ただ、年内に1950─53年の朝鮮戦争の終結を宣言することが主要な目標となるとの認識を示した。

文大統領は訪朝を終えソウルに戻った直後に行った記者会見で、金委員長との3日間にわたる会談で、北朝鮮の核問題を巡る米朝協議の再開に多くの時間を割いたとし、金委員長が米国が相応の対応をとれば関係国の専門家の監視の下で主要なミサイル関連施設と寧辺の核施設を「永久的に廃棄」する意思があると述べたことを明らかにした。

同大統領は、首脳会談後の共同声明には、金委員長の核プログラムの「検証可能で不可逆的な」廃棄に向けたコミットメントが盛り込まれていると指摘。「金委員長は迅速に非核化を完了させ、経済発展に注力したいとの意思を表明した」と述べた。

そのうえで、金委員長は豊渓里(プンゲリ)核実験場の査察も拒否しない姿勢を示したとし、「金委員長は、非核化プロセスを加速化させるため、近くトランプ大統領との2回目の会談を行うことを望んでいる」と述べた。

ポンペオ国務長官は前日、北朝鮮の非核化を2021年1月までに完了させることを目指し、「直ちに」北朝鮮側との協議に入る用意があると表明。北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)外相と来週ニューヨーク市で会談を行うことを明らかにすると同時に、ビーガン北朝鮮担当特別代表とウィーンで「できるだけ早期に」会談を行うため、北朝鮮代表団を招待したとも明らかにした。

ポンペオ国務長官は19日声明を発表し、ニューヨークで開催中の国連総会にあわせた米朝外相会談を北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)外相に要請したと明らかにした。また、ビーガン北朝鮮担当特別代表と北朝鮮のカウンターパートによる会談をウィーンで早期に開くことも提案した。

国務省のナウアート報道官は20日、こうした会談について質問された際に、米国は招待状を既に送ったとし「彼らが可能であればわれわれの方は準備はできている」と語った。

さらに、来週の韓国側との会談で南北首脳会談の公式声明を期待していると述べた。国連総会の合間に予定されている米韓首脳会談など、来週は米韓当局者会合が複数行われる。

ポンペオ国務長官が19日の声明で、北朝鮮が、米国と国際原子力機関(IAEA)の立ち会いのもと寧辺にある全施設を廃棄する計画を歓迎するとしたことについて質問されると、ナウアート氏は南北首脳会談では査察官に関して話し合われたと述べた。

「IAEAの査察官と米国の査察官が関与するということは共通の理解だ」とし「今回のように廃棄が必要な核の問題がある場合、IAEAの関与が見込まれる。これは通常通りのことで、各国との共通認識だ」と語った。

南北首脳会談の合意文書にこの件の詳細が盛り込まれていない点について質問されると「われわれは北朝鮮の政府と会話しており、それが相互理解だ。このことはまた、韓国と北朝鮮の相互理解でもある。ここ数日の私の理解では、この件は話し合われた問題のうちのひとつだ」と説明した。

韓国は年内に米国とともに朝鮮戦争の終結を宣言したい考え。

文大統領は、朝鮮戦争の終結宣言で韓国に駐留する米軍などに影響は出ないとし、金委員長もこの点では一致していると指摘。「終結宣言は新たな平和協議の開始につながる政治宣言となる」とし、「北朝鮮が非核化を完了した後、平和協定が締結され、米朝関係が正常化される」と述べた。

*内容を追加します。

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

G7外相、イスラエルとイランの対立拡大回避に努力=

ワールド

G7外相、ロシア凍結資産活用へ検討継続 ウクライナ

ビジネス

日銀4月会合、物価見通し引き上げへ 政策金利は据え

ワールド

アラスカでの石油・ガス開発、バイデン政権が制限 地
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 4

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 5

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 6

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 10

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中