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米大統領と司法長官が異例の応酬、中間選挙後の交代観測も
8月23日、セッションズ米司法長官(写真)は、「司法省は政治的影響にさらされない」とし、トランプ大統領の批判に反論した。ホワイトハウスで16日撮影(2018年 ロイター/Leah Millis)
[ワシントン 23日 ロイター] - トランプ米大統領は23日放送のFOXニュースのインタビューで、セッションズ司法長官は「司法省を統制していない」と酷評した。これにセッションズ氏が強く反論するという異例の応酬が繰り広げられた。
トランプ大統領は司法省批判を激化する一方、有罪評決を受けた自身の元選対本部長ポール・マナフォート被告については、擁護する姿勢を示した。
マナフォート被告を巡っては、ロシアの米大統領選干渉疑惑を端緒にした捜査で起訴され、21日に脱税や銀行に対する詐欺などで有罪評決が下った。また同日には、トランプ大統領の元顧問弁護士マイケル・コーエン被告が、トランプ氏の指示で、大統領選挙中にトランプ氏との不倫関係を主張する女性2人に口止め料を支払ったことを認めた。
トランプ大統領は司法省が腐敗しているとしてセッションズ氏をあらためて批判。「指名した司法長官が、まったく司法省を統制していない」と強調した。
これに対しセッションズ司法長官は声明を出し、「就任した日から同省を統制している」と反論。「私が司法長官にとどまる間、司法省の行動は政治的配慮による不適切な影響を受けることはない」と言明した。
マナフォート、コーエン両被告を巡る動きを受けて、21日夕方から23日に実施されたロイター/イプソスの世論調査では、共和党支持の登録有権者のうち、78%がトランプ氏を支持すると回答、20日まで7日間行われた前回調査の81%からやや低下した。
民主党支持の有権者の間では、トランプ氏の支持率は11%と、前回の15%から低下。トランプ氏の全体の支持率は37%と、前回の43%を下回った。
同調査は全米の成人1688人を対象にオンラインで実施された。このうち、民主党支持者は704人、共和党支持者は587人だった。
<司法長官交代の可能性>
セッションズ氏を巡っては、昨年3月に、ロシアの米大統領選干渉疑惑に絡む捜査に関与しないと表明したことからトランプ氏の不興を買い、両氏の関係は急速に悪化していた。
共和党の有力議員、グラム上院議員は23日、トランプ大統領は司法長官を交代させる公算が大きいが、11月の中間選挙後にすべきと大統領に伝えたことを明らかにした。
トランプ氏に近い関係筋もまた、大統領が中間選挙前にセッションズ氏を解任する可能性に否定的な見解を示し、グラム議員が指摘したような中間選挙後の解任は可能性が高いシナリオだと語った。セッションズ氏は「けがをした子犬」のようだとも述べた。
トランプ大統領はFOXニュースのインタビューで、「司法長官のポストに就任したにも関わらず、(大統領選に絡む捜査に)関与しないと表明した。どういった人間なのか?」と述べ、セッションズ氏のロシア干渉疑惑への対応をあらためて批判した。
同時に、司法省には「引き続き介入はしない。それがベストなことだろう」と表明した。
一方、上院共和党ナンバー2のジョン・コーニン院内幹事はセッションズ氏は法の支配に献身的に取り組む「立派な」人物だと評し、擁護する立場を示した。同氏は記者団に「セッションズ氏が退任を余儀なくされれば米国や大統領、司法省に悪影響がある」と語った。
トランプ氏はマナフォート被告について、有罪評決の一部は「ワシントンDCのすべてのコンサルタント、すべてのロビイストも恐らくしていること」とし、同被告に同情を示した。
トランプ氏のインタビューを行ったFOXニュースの記者は22日、トランプ氏がマナフォート被告への恩赦を検討する意向を示したと明らかにしていたが、23日放送のインタビューでは恩赦に関する言及はなかった。
米紙ワシントン・ポストは同日、トランプ氏はマナフォート被告の公判中に同氏の弁護団と恩赦の可能性について協議したが、11月の中間選挙まで判断を留保するよう周囲に説得されたと報じた。
*見出しと内容を更新し、写真を追加します。