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米企業、新たな対中関税は幅広い製品の値上げにつながると警告
8月20日、米通商代表部(USTR)が中国からの2000億ドル相当の輸入品を対象とする関税に関する公聴会を開始するのを前に、米企業は、関税導入によってベビー用品から棺おけに至るまで、幅広い製品の値上げを余儀なくされると警告した。写真はカリフォルニア州ロングビーチの港で4月撮影(2018年 ロイター/Bob Riha Jr)
[ワシントン 20日 ロイター] - 米通商代表部(USTR)は20日、2000億ドル相当の中国製品に課す関税について6日間の日程で公聴会の開催を始めた。米企業は、関税導入によってベビー用品から棺おけに至るまで、幅広い製品の値上げを余儀なくされると警告した。
新たな対象品目は中国産の海産物や中国製の家具、照明機器、タイヤ、化学製品、自転車、車のベビーシートなどがあり、これまでの対中関税よりも消費者向け製品が多く含まれている。トランプ政権は最大25%の税率の適用を提案している。
ニュージャージー州の衣服生産・輸入企業オーナーは「ウエディングドレスや、高校卒業記念パーティー用ドレスは米国で作ることができない。だれもやりたがらない」と漏らす。「中国以外の業者を選ぶことができるのなら、全世界が選択するだろう」と語った。
マサチューセッツ州のスポーツ衣料企業幹部は「野球帽の25%値上げに大半の消費者は対応できない。仮に今回の関税引き上げが実行に移されれば、事業が停滞するか衰退に向かう」と話す。
全米商工会議所は公聴会に向けた書面による証言で、新たな関税で「米国の消費者や労働者、企業、そして米経済が受ける損害が劇的に拡大する」と強調した。
その上で、トランプ政権は中国による知的財産権侵害やその他の有害な貿易慣行に対抗するための「首尾一貫した」戦略に欠けていると批判し、中国と「真剣な協議」を行うよう呼び掛けた。
米中の通商協議は週内にワシントンで再開する見通しとなったが、米国の対中関税や中国による対米報復関税に何らかの影響が及ぶかは未知数。
自転車・部品販売各社は、米国内で年間売られる1800万台の94%が、劇的な関税引き上げに直面し、ヘルメットなど安全用品の使用が減ると危機感を募らせる。
ヘルメットなどのメーカー社長は「消費者が自転車用ライトを買わずに交通法規を無視するか、ヘルメットを着用せずに死亡する可能性」を指摘した。
公聴会を前に米企業などからは1400件以上の書面によるコメントがUSTRに寄せられており、大半の企業は関税導入による悪影響やコスト増を指摘。対中関税を称賛、あるいは対象品目の拡大を求める企業は少数にとどまった。
米文房具・日用品ニューウェル・ブランズ
テキサス州の棺おけメーカー、センテニアル・キャスケットのダグラス・チェン社長は、同社は中国製棺おけのみを取り扱っているため、関税によって「多大な損失」が発生し、親族を失って悲しみにくれる遺族らが購入する棺おけの値段が上がることになるとコメントした。
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核燃料製造で米最大手のウエスチングハウス・エレクトリックは、米国内の核燃料工場の設備に使われている「ジルコニウム」は中国産に依存していると説明。米国内で調達できないため、関税が適用されれば、原子力発電所向けの核燃料の製造コストが上がり、最終的に一部の米消費者の電気料金に跳ね返ることになるとの見方を示した。
米最大の自転車ブランド「ハフィー」のビル・スミス最高経営責任者(CEO)は、中国製の自転車を年間400万台販売する同社にとって、関税は「深刻な脅威になる」と強調した。「中国は世界最大の自転車製造国であるため、アジアや欧州でハフィーが必要とする台数を供給できる国は他にない」と記した。
*内容を追加しました。