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人民日報、米中貿易摩擦で政府の国家主義的姿勢への批判に反論
8月10日、中国政府の中枢では、米国との貿易戦争を回避するために政府が低姿勢で臨むべきとの批判が強まっているが、共産党機関紙の人民日報は、中国を象に例え、その大きさと力強さは隠すことができないと反論した。写真は米中両国旗。昨年11月に北京で撮影(2018年 ロイター/Damir Sagolj)
[北京/上海 10日 ロイター] - 中国政府の中枢では、米国との貿易戦争を回避するために政府が低姿勢で臨むべきとの批判が強まっているが、共産党機関紙の人民日報は10日、中国を象に例え、その大きさと力強さは隠すことができないと反論した。
複数の政府関係筋によると、米国との貿易摩擦の激化が共産党内に亀裂を生じさせており、党内では、過度に国家主義的な中国の姿勢が米国の態度硬化を招いた可能性があるとの批判が出ている。
人民日報は長文の社説でこうした批判層に直接狙いを定め、ホワイトハウスは内外で非難されている一方、インターネットで「まことしやかな」見解を流布させている向きがいると説明。
「見解の1つは『中国の戦略が自信過剰で高姿勢過ぎ、米国からの連続パンチを招いている』と中国を批判している。中国は反撃すべきでないとの批判もある。中国が降参している限り、米国は慈悲深く手を出さず、中国と米国の貿易戦争は起こらないだろうという意味だ」と指摘した。
しかしながら、貿易摩擦は中国が招いたものでは全くなく、旧ソ連や英国、日本など、米国の覇権を脅かす恐れがあるとみなした国を米国が追い込もうとするのは歴史が示しているとし、中国は巨大で成長する経済により、その最前線に立たされているとの見方を示した。
社説は「1世紀以上にわたる大変な努力を経て、中国は世界の舞台の中心に帰ってきた。中国と米国の貿易摩擦において、われわれが踏まえねばならない基本的な事実だ」とし、「象が苗木の後ろに隠れることができないように、中国の大きさや重さは『控えめな姿勢』では隠せない」と強調した。
また、米中貿易摩擦の激化は中国が米国の覇権を脅かす最大の存在になっているとの懸念が背景にあり、中国が米国に対する「前例のない敵」として浮上していると説明。
「中国が何をしようと、米国の目には中国の発展が既に『米国の優位性を損なっている』ように映る」とし、「このような『敵』に対しては、米国はまず敵の存在を利用し、『米国を再び偉大にする』ため国民の支持を呼びかけ、その上で敵の優位性をあらゆるレベルで抑制する、という2つの措置に出るのが必至だ」と指摘した。
*内容を追加しました。