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EU首脳会議、難民対策で独伊に配慮へ 共通政策で合意目指す
6月20日、欧州連合(EU)加盟国は来週の首脳会議(サミット)で、難民問題を巡り連立政権存続の危機に直面するドイツ、反体制主義を掲げる政権が誕生したばかりのイタリアの両国に配慮した難民対策を打ち出す見通し。写真は3月に行われたEU首脳会議。ブリュッセルでの代表撮影(2018年/ロイター)
[ブリュッセル 19日 ロイター] - 欧州連合(EU)加盟国は来週の首脳会議(サミット)で、難民問題を巡り連立政権存続の危機に直面するドイツ、反体制主義を掲げる政権が誕生したばかりのイタリアの両国に配慮した難民対策を打ち出す見通し。
サミット声明の草案によると、EUは難民が保護申請を行った国から別の国に移動することを阻止する措置を講じることを加盟国に認めるとともに、北アフリカなど域外にEUへの難民申請を受け付ける機関を設置する案を示す。
28─29日のサミットでEU加盟国は、共通の移民・難民政策で合意を目指す見通し。声明案は公表されておらず、文言が変更される可能性がある。それでもなお、反移民的な主張を掲げるイタリアの新政権と連立政権内に亀裂が生じているドイツに配慮する姿勢が鮮明となっている。
メルケル独首相は、連立を組むキリスト教社会同盟(CSU)から2週間の期限内にEUの新たな移民・難民対策を確立するよう求められている。CSUは、EU首脳会議の結果に満足できない場合は、他のEU加盟国で既に審査を受けた難民がドイツに移動することを拒否する命令を発動しようとしている。メルケル氏は反対の立場だ。
ドイツ警察のデータによると、このような命令が発動されても、対象となるのは月間で数百人にとどまり、国内の難民の数に大きな影響はないとみられる。
欧州対外国境管理協力機関(フロンテックス)によると、イタリア、ギリシャ、スペインに到着した難民の9割以上が到着先で難民申請を行っている。それ以外の人々は依然、ドイツなど北部を目指す。こういった「二次的移動」はEU規則に違反するが、後を絶たない。
サミット声明案は「加盟国は二次的移動の阻止に必要とされる国内のあらゆる立法措置を講じるべき」としている。
メルケル首相とマクロン仏大統領は19日の会談後の共同声明で、EUの一元的な移民対策と二次的移動への対応を呼び掛けた。
EU首脳会議はまた、難民審査を行う施設を域外の北アフリカなどに開設する案を検討することで合意する見通し。イタリアやハンガリーなど多くの加盟国は域外施設の設置を求めているが、域外で手続きを行うことは法に違反するとの懸念があるため、これまで検討が見送られてきた。
声明案は「このような仕組みによって経済移民と国際的保護が必要な人々を区別する手続きが迅速に行われ、危険な渡航に踏み切る必要性が低下することになる」とした。
イタリアは今月、難民救助船の入港を拒否し、フロンテックスは地中海で救助活動を行うよりも、アフリカで難民が渡航するのを阻止する取り組みを行うべきだと主張した。
南欧や豊かな中欧の諸国は難民受け入れを加盟国間で分担する必要性を主張しているが、東欧諸国は反対しているため、EU難民保護申請のルール見直しはこう着状態にある。