ニュース速報

ワールド

トランプ大統領、対中関税で「非常に大幅な措置」指示へ=米高官

2018年06月15日(金)08時25分

 6月14日、米政府当局者が明らかにしたところによると、トランプ米大統領は中国に対する関税について「非常に大幅な措置」を指示する見通し。2017年4月撮影(2018年 ロイター/Joshua Roberts)

[ワシントン 14日 ロイター] - 米政府当局者が14日に明らかにしたところによると、トランプ米大統領は中国に対する関税について「非常に大幅な措置」を発動することを決めた。

大統領は関税の対象となる中国製品について、4月に公表した総額500億ドル相当の製品リストの修正版を15日に公表する。別の政府当局者や業界筋によると、対象は800品目となる見通しで、4月に候補に挙げられた1300品目を大幅に下回る。

前出の当局者によると、大統領は、北朝鮮と直接コミュニケーションをとる手段が確保できたため、中国の北朝鮮に対する影響力が対中関税を控える理由にはもはやならないと考えている。

ホワイトハウスでは14日にこの件に関する会議が開かれ、その際ムニューシン財務長官はこの措置に反対したが、長官の主張が通る見込みはないという。

中国の王毅国務委員兼外相は、米政府が対中関税を発動した場合は対抗する用意があると表明した。

中国を訪問しているポンペオ米国務長官との記者会見で、通商問題には2つの対応策が選択肢としてあると指摘。「一つ目の選択肢は協力と互恵で、もう一つは対立と互いの損失だ。中国は一つ目を選ぶ」と強調。「米国側にもこの賢明な選択を行うことを望む。無論、二つ目の選択肢に対応する用意はある」と述べた。

ロス米商務長官は今月初めに北京で中国側と交渉し、米国産品の輸入を年間約700億ドル増やすとする中国側の提案を持ち帰った。しかし関係者によると、トランプ大統領はこの提案を受け入れなかったもよう。

王外相は、両国は意見の不一致には「建設的な手段」で対応することで合意したと述べた。

ポンペオ長官は、米国の対中貿易赤字は依然として巨額だとしつつも、良い協議が行われたと語った。「貿易を均衡化し、さらに互恵的で公正なものにするとともに、米国の労働者が公正に扱われる機会をもうけるために現状を是正することが、トランプ大統領にとっていかに重要かを強調した」という。

同長官はこの日、習近平国家主席とも会談。中国外務省の声明によると、習主席は長官に対し、米国がデリケートな問題に「慎重かつ適切」に対応し、米中関係の「大きなかく乱」を回避することを望むと述べた。

トランプ大統領が対中関税の発動を決めた場合の発動日は依然、不明。複数の業界ロビイストはロイターに対し、早ければ15日にも連邦公報での告示とともに関税が発動される、あるいは発動は来週まで持ち越される可能性があると語った。

中国は4月に、米国が関税発動を決めた場合、大豆、自動車、化学製品、一部航空機などの米製品に追加関税を課す方針を示している。

トランプ大統領は1974年通商法に基づき、中国の知的財産権を巡る慣行への調査を開始したが、同法では関税の発動を30日遅らせることが可能。米通商代表部(USTR)が中国との交渉が進展していると判断する場合、発動をさらに180日遅らせることができる。

*内容を追加して再送します。

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

第1四半期の中国スマホ販売、アップル19%減、ファ

ビジネス

英財政赤字、昨年度は公式予測上回る スナク政権に痛

ビジネス

ユーロ圏総合PMI、4月速報値は51.4に急上昇 

ワールド

独、スパイ容疑で極右政党欧州議員スタッフ逮捕 中国
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 3

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバイを襲った大洪水の爪痕

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    冥王星の地表にある「巨大なハート」...科学者を悩ま…

  • 9

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 10

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 7

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中