ニュース速報
ワールド
英ロイヤルウエディング、伝統と現代の融合で新しい王室示す
5月19日、英国のヘンリー王子(33)と米女優メーガン・マークルさん(36)は、ロンドン郊外にあるウィンザー城の聖ジョージ礼拝堂で結婚式を挙げた(2018年 ロイター/Peter Nicholls)
[ウィンザー(英国) 19日 ロイター] - 英国のヘンリー王子(33)と米女優メーガン・マークルさん(36)は19日、ロンドン郊外にあるウィンザー城の聖ジョージ礼拝堂で結婚式を挙げた。英国の伝統に、アフリカ系米国人のルーツを持つメーガン妃の文化的背景を織り交ぜた式は、1000年の歴史を持つ英王室に新しい風を吹き込んだ。
離婚歴があり、アフリカ系米国人の母と白人の父を持つ女性が英王室に入るのは初めてのことだ。エリザベス女王は結婚式を前にヘンリー王子(愛称・ハリー)を「サセックス公爵」に叙すると発表しており、メーガン妃は「サセックス公爵夫人」となった。
祝賀のため10万人を超える人々がウィンザーに集まったが、そのうちのひとり、40歳の黒人女性は「壁が打ち破られた」と話した。
式は英王室の伝統にのっとって行われたが、随所に異例の演出が盛り込まれた。
英国教会の最高位聖職者であるカンタベリーのジャスティン・ウェルビー大主教が、1348年創設のガーター騎士団の旗の下、2人が夫婦になったことを宣言。だが、その前に行われた米国聖公会のマイケル・ブルース・カリー総裁主教による説教は英国教会の厳粛な雰囲気から程遠いものとなった。
第27代総裁主教で、2015年に初のアフリカ系として選出された米国人のカリー主教は、エリザベス女王をはじめとした英王室メンバーやオプラ・ウィンフリー、ジョージ・クルーニー、デビッド・ベッカムら著名人らを前に、「愛には力がある」と語り始めた。
「そのことを軽く見てはいけない。恋に落ちたことのある人ならその意味を知っている」と公民権運動指導者のマーチン・ルーサー・キング牧師の言葉を引用しつつ、情熱的な説教を行った。
米ヒューストンからウィンザーを訪れたアフリカ系米国人の女性は主教の熱のこもった説教を称賛、「アフリカ系米国人のための瞬間だった。まるで私たちの教会にいるようだった。王室の文化と彼女の文化が完璧に混じり合った」と語った。
ネット上の反応も圧倒的に前向きなコメントが多い。
ニューヨーク・タイムズのケイティー・ロスマン記者は「英王室の結婚礼拝でキング牧師の言葉が引用された。カリー主教の説教はとても米国的で、騒々しく情熱的で。大好き」とツイートした。
ワシントンポストのオピニオンエディター、カレン・アティア氏は結婚式全体について「米国の黒人文化の明白な礼賛」と評し、「昨年秋、メーガンさんは結婚して英王室に入れば人種についてはあまり発言しなくなるだろうと書いたが、私が間違っていたことになるかも」とツイートした。
一方、英王室メンバーが長い説教の間、笑みを浮かべている様子もテレビでみられた。メーガン妃の母親のドリアさんは数回うなずいていた。
ソーシャルメディアでは、女王の孫にあたるザラ・フィリップスさんが口を開けている様子や、ヘンリー王子のいとこ、ベアトリス王女が忍び笑いをしている場面が大きく取り上げられている。
カリー主教は書見台をつかみ、腕を大きく振り、前にあるキャンドルを揺らしながら「神を愛し、隣人を愛し、自分自身を愛しなさい」と語り、「愛」という単語を70回近く用いた。
また、伝統的な賛美歌に加え、黒人のゴスペル合唱隊によって、米国のソウルシンガー、ベン・E・キングの1960年代のヒット曲「スタンド・バイ・ミー」も歌われた。
この日の夜、近くのフロッグモアハウスで開かれた祝賀レセプションでは、メーガン妃はステラ・マッカートニーがデザインした白いロングドレスに着替えて登場、これも異例のことだが、200人の招待客を前にスピーチを行った。
(翻訳:加藤京子、編集:下郡美紀)