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トランプ米大統領、移民政策に強硬姿勢貫く=一般教書演説
1月30日、米国のトランプ大統領は一般教書演説で、共和・民主両党に対し移民問題やインフラ投資法案で歩み寄るよう呼び掛けた。写真は一般教書演説に臨むトランプ大統領。代表撮影(2018年 ロイター)
[ワシントン 30日 ロイター] - 米国のトランプ大統領は30日、就任後初となる一般教書演説で、共和・民主両党に対し歩み寄りを呼び掛ける一方で、移民政策については強硬姿勢を貫いた。
連邦議会では現在、幼少期に親と不法入国した「ドリーマー」と呼ばれる人々の処遇が議論されている。トランプ氏は「ドリーマー」の強制送還を猶予する制度「DACA」を撤廃する意向を表明しており、演説ではDACA継続での譲歩姿勢を示さなかった。
さらに、11月の中間選挙に向けて保守派の支持者を引き続き満足させるため、メキシコ国境の壁建設や、不法移民が米国へ同行させることのできる家族の人数に関する新しい制限などを支持。民主党と対立した。
トランプ大統領は下院での演説で「この日、私はすべての議員に対し、意見の相違を超えて合意点を探し、われわれを選出した有権者に提供するため意見を一致させるよう求める」と発言した。
トランプ氏に関しては、2016年大統領選挙へのロシア介入疑惑「ロシアゲート」や職務能力に関する支持率の低さが不信感につながっており、今回の1時間20分に及んだ一般教書演説でこれらの懸念を払拭(ふっしょく)する意図があった。ロシアゲートに関する米連邦捜査局(FBI)の捜査については触れなかった。政策提案の詳細にも触れなかった。
ただ、演説が慎重かつ抑制された内容となったことで、国民からは歓迎されたもよう。CNNと調査会社SSRSが共同で行った世論調査では、演説に「非常に前向き」な反応を見せた人が48%、「ある程度前向き」と答えた人が22%を占めた。
大統領が超党派による合意を求めた一方で、共和党と民主党の間に深い溝が存在することは明白だ。演説中、共和党議員らが拍手喝采を浴びせたのに対し、民主党議員らは着席のまま沈黙を守った。
トランプ氏は演説の後半で、外交政策に言及。北朝鮮の指導部を「邪悪」と呼び、 北朝鮮の核ミサイル計画が近いうちに米国を脅かす可能性があるとの認識を示した。
同氏はキューバのグアンタナモ基地の収容施設継続に署名したことを明らかにした。同施設には外国人の過激派容疑者が収容されており、人権団体などが批判。オバマ前大統領が2008年の大統領就任時に閉鎖の方針を掲げたが、共和党が多数を占める議会で実現を阻止されていた。
トランプ氏が、超党派による一致への呼び掛けを最後まで貫くかどうかは不透明だ。同氏は過去にも同様の訴えを行ってきたが、一方で敵意のあるツイートの投稿や不和を生じさせるような発言で、民主党だけでなく共和党内の議員すら怒らせてきた。
トランプ氏の提案した移民政策を、共和党議員らは歓迎。ジェームズ・ランクフォード上院議員(オクラホマ州)は、トランプ氏が妥協点を見出したと評価した。だが、民主党のパトリック・リーヒ上院議員(バーモント州)は超党派協力の呼び掛けに対し「長年にわたり不和を引き起こし、つまらない侮辱や恥ずべき人種攻撃を続けてきた後では、空々しく聞こえる」と突っぱねた。
トランプ氏は、選挙公約に掲げていたメキシコ国境の壁建設と引き換えに、「ドリーマー」へ10─12年以内に市民権を付与する取引に「寛大な手を差し伸べる」と主張。この案を「中央での妥協」と称した。ただ、不法移民が家族など幅広い血縁者を米国内へ呼び寄せる「連鎖移民」を抑制する意向も示した。
<インフラ計画>
トランプ氏は、株式相場の大幅上昇や失業率の低下などの経済的成果を自らの手柄とし、昨年末に共和党が通過させた減税法案が経済成長に寄与するだろうと自賛。
「米国の素晴らしい時代が来た。アメリカンドリームの実現に、今ほど良い時期はなかった」と述べた。
同氏は、新たなインフラ投資へ少なくとも1兆5000億ドルを投じる法案を承認するよう要請。連邦予算からの支出を大幅に増やすよりも、「州・地方政府、あるいは適切なところでは民間投資も含めて資金を捻出すべき」と提案した。
市場の反応は鈍く、S&P500種先物は小幅上昇したものの、投資家は目新しい内容はないとみている。クレセット・ウェルス・アドバイザーズのTim Ghriskey最高投資責任者(CIO)は「ネガティブな演説ではなかったため、先物は小幅上昇した。トランプ氏は冷静で、米国を祝福した。自らの過ちに触れるのを避けた」と述べた。
*内容を追加します。