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インタビュー:米大統領、北朝鮮問題でロシア非難 中国に罰金も
1月17日、トランプ米大統領は、北朝鮮の制裁逃れを手助けをしているとしてロシアを非難した。さらに、北朝鮮が米本土を狙う長距離ミサイルの完成に「日ごとに近づいている」と警鐘を鳴らした。ホワイトハウスでインタビューに答える同大統領(2018年 ロイター/Kevin Lamarque)
[ワシントン 17日 ロイター] - トランプ米大統領は17日、北朝鮮の制裁逃れを手助けをしているとしてロシアを非難した。さらに、北朝鮮が米本土を狙う長距離ミサイルの完成に「日ごとに近づいている」と警鐘を鳴らした。
トランプ大統領はロイターとのインタビューで、「ロシアは北朝鮮問題で米国の助けにはなっていない」とし、「中国が米国に協力した分をロシアが損なっている」と非難した。
トランプ氏はまた、中国が米国の知的財産権を侵害している可能性があるとし、巨額の「罰金」を科すことを検討していると述べ、報復措置に踏み切る可能性を示した。
トランプ大統領の発言について、在ワシントンのロシア大使館からコメントは得られていない。
トランプ氏は、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との対話については、「対話の席には着くつもりだが、問題の解決につながるかは定かではない」とし、対話が有益かどうかを巡り疑念を表明した。トランプ大統領は過去に、金氏との直接対話を排除しない姿勢を示していた。
トランプ氏は、危機を解決できなかったとしてクリントン、ブッシュ、オバマ氏の直近3人の歴代大統領を批判。自身については、前日発表された健康診断結果を受け、危機を解決できる認知力があることを示唆した。
「彼らは皆、テストで満点を取った大統領に任せるしかないと気付いただろう」と語った。
金委員長とこれまでに連絡を取ったことがあるかどうかについてはコメントを控えた。北朝鮮とのこう着状態を「平和的な手段で」解決できることを望むが、「そうできない可能性は大いにある」と述べた。
また、北朝鮮への石油・石炭供給制限に向けた中国の取り組みを称賛した上で、北朝鮮を抑止するためにさらにできることがあるとし、中国に一段の行動を求めた。
ロシアのプーチン大統領については「できることは多い」とする一方、「残念ながらわれわれはロシアとそれほど関係が深くない。中国が与えるのをやめた代わりにロシアが与えているケースもあるとみられ、結果的にはそれほど良くない」と指摘した。
また、来月行われる平昌冬季五輪に関する南北協議を歓迎し、危機打開に向けた最初の段階だと述べた。
米国の本気度を示すため、北朝鮮への限定的な先制攻撃を検討しているかどうかについては手の内を明かさなかった。
<中国に「巨額の罰金」検討>
トランプ氏は、中国が米国の知的財産権を侵害している可能性を指摘。この問題について調査を開始したと説明。インタビューに同席したコーン国家経済会議(NEC)委員長は、米通商代表部(USTR)がまもなく勧告を行うと明らかにした。
トランプ氏は「非常に巨額の罰金を科すことを検討しており、近く発表する」と語り、米国は中国との良好な関係を望んでいるが、中国は米国を公平に扱うべきだと主張した。
通商問題に関して中国への措置を公表する計画だとし、この問題を1月30日の一般教書演説で取り上げる考えを示した。
トランプ氏は、習近平国家主席と中国の米国債購入に関して議論したことはないと述べた。
ブルームバーグは今月、中国の外貨準備を見直す当局者らが、米国債の購入ペースを落とすか、購入を停止する提言を行った、と報じた。
トランプ氏は、そうした動きが米経済への打撃になるとは考えていないと述べた。
また、米国、メキシコ、カナダの3カ国による北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉について、トランプ大統領は最善案は協定の廃止だとの考えを示した。
大統領は「われわれはNAFTAの再交渉中だ。私がNAFTAを廃止するかもしれない」と発言。「NAFTA廃止が最善策になるが、多くの人々はそれを理解していない」と語った。
米国内では議員のほか、農業や自動車などの業界団体がNAFTA継続を訴えている。
NAFTA再交渉の第6回会合は来週からカナダのモントリオールで開催される。
<共和党を支援、もろ刃の剣か>
トランプ氏は、中間選挙を控えた今年は共和党の過半数議席を維持するため選挙戦の支援に尽力する方針を明らかにした。ただ、中間選挙に向けた党内の予備選には関与しない可能性を示唆した。
大統領は「共和党議員を増やす必要があるため、その支援に1週間のうち4─5日を充てるつもりだ」と発言。「真の政策課題を実現させるには共和党議員を増やす必要がある」と述べた。
また、共和党の予備選で特定の候補者を支持することはないと示唆。代わりに、11月の中間選挙で民主党が奪還を目指す共和党の過半数議席を維持することに専念するとみられる。
昨年のアラバマ州上院補欠選挙の予備選では、大統領が支持した候補が保守強硬派の候補に敗れている。
11月の中間選挙では上院の34議席、下院の全435議席が争われる。民主党が過半数を確保するには上院であと2議席、下院であと24議席増やすことが必要。
トランプ大統領は昨年12月に成立した共和党主導の税制改革法案について、減税効果を実感した有権者の間で今後評判が高まるとの見方を示した。また、共和党政権下の株高についても選挙戦の宣伝材料にする計画を明らかにした。
トランプ大統領の選挙支援は共和党にとって、もろ刃の剣となる可能性がある。
ロイター/イプソスの調査では、トランプ氏の支持率は全国的におおむね40%を下回る。また、選挙戦にトランプ氏が関与することで、不支持を表明したい民主党有権者の投票率が押し上げられる可能性がある。
*内容を追加しました。