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NY市場サマリー(9日)FOMCにらみS&P小幅安 雇用指標受けドル・金利上昇

2025年12月10日(水)06時56分

<為替> ドルが上昇した。この日発表になった指標が、依然として労働市場の底堅さを示したことを受けた。

週末までに複数の中銀決定を控え、市場は警戒を強めている。

米労働省が9日発表した10月の雇用動態調査(JOLTS)によると、求人件数は767万件と前月から1万2000件増加した。

これを受けてドルは上昇。円に対して2週間ぶりの高値となる157円近辺まで上昇した。終盤は0.6%高の156.845円だった。

ユーロ/ドルは0.1%下落して1.1629ドルとなった。

指標発表後、市場の焦点は再び米連邦準備理事会(FRB)に移っている。政策当局は追加緩和策を抑制する可能性のあるインフレリスクを強調する見通し。

投資家は2026年の米利下げ期待を後退させている。パウエル議長の後任の最有力候補であるハセット国家経済会議(NEC)委員長が、トランプ大統領の期待ほどハト派ではないとの見方が強まっているためだ。

スコシア銀行のチーフFXストラテジスト、ショーン・オズボーン氏は「今回の利下げはほぼ確定だろう」としながらも「それ以降についてはいろいろな要素が絡んでいる。パウエル議長が次の利下げへのハードルを高めるだろうという期待はあるが、それがドルを大きく押し上げるかは疑問だ」と述べた。

ドル指数 は0.1%上昇し99.21となった。

豪ドル は0.3%高の0.6641米ドル。オーストラリア準備銀行(中央銀行)は9日、政策金利を予想通り3.60%に据え置き、インフレ再燃の可能性に警戒を示した。

英ポンド は1.3303ドルとやや下落、NZドル は0.5781米ドルと小幅上昇した。

暗号資産(仮想通貨)のビットコインは2.6%高の9万3704.38ドルだった。

NY外為市場:[USD/J]

<債券> 国債利回りが概ね上昇した。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測を背景に取引序盤で低下基調にあったものの、労働市場に関するデータを受けて上昇に転じた。

米労働省が発表した10月の雇用動態調査(JOLTS)によると、求人件数は767万件と前月から小幅増加した。一方、採用は低調に推移した。

ミシュラー・ファイナンシャル・グループのマネージングディレクター、トム・ディ・ガロマ氏は 「求人件数の増加は若干サプライズだった」としつつ、政府機関閉鎖の時期についても言及。「現時点で雇用関連データや経済指標の予測を行っている機関や民間企業は正確な経済状況を把握できていないが、こうした中でも債券市場では売りが優勢で、利回り曲線はフラット化した」と述べた。

10年債利回りは1.4ベーシスポイント(bp)上昇の4.186%となった。序盤で一時、4.141%まで低下した。

2年債利回りは2.8bp上昇の3.611%。

2年債と10年債の利回り格差は57.3bpとなった。

一方、30年債利回りは0.5bp低下の4.81%となった。

市場はFRBが9─10日に開く米連邦公開市場委員会(FOMC)で25bpの利下げを実施するとみており、先行きの利下げに慎重な「タカ派的な利下げ」になるとの観測が強まっている。

CMEのフェドウオッチによると、市場が織り込む25bpの利下げ確率は87.4%となっている。

こうした中、財務省が実施した390億ドルの10年債入札は、応札倍率が2.55倍と堅調な需要を集めた。11日には220億ドルの30年債入札が実施される。

物価連動国債(TIPS)と通常の国債の利回り差で期待インフレを示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は、5年物が2.323%、10年物が2.264%となった。

米金融・債券市場:[US/BJ]

<株式> S&P総合500種が小幅に下落して取引を終えた。連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を控える中、連邦準備理事会(FRB)が利下げを実施しても、タカ派的な姿勢を示すとみられている。また、来年に費用が増加するとの見通しを示したJPモルガン・チェースが下落し、相場を圧迫した。

FRBは9日、2日間にわたるFOMCを開始した。インフレ率はFRBの目標である2%を依然として上回っているが、市場では0.25%ポイントの利下げが見込まれている。

政策当局者らは見通しについて異なるメッセージを発しており、物価上昇圧力が容易に再加速し得ると警告する者もいる一方で、労働市場の健全性をより懸念する声もある。

この日発表された指標では先行き不透明感は払拭されなかった。10月の雇用動態調査(JOLTS)によると、求人は小幅に増えたものの、企業が不確実な経済環境に対処する中、採用は低調に推移した。

クリアブリッジの経済・市場戦略責任者、ジェフ・シュルツ氏は「今の市場のバイアスは、雇用機会の増加により、FRBのハト派的な姿勢がやや弱まることだ」と述べた。

CMEのフェドウオッチツールによると、市場が織り込む10日の利下げ確率は約87%となっている。しかし、シュルツ氏は「明日の利下げ後に利下げが一時停止される可能性が高まっている」とみている。 

米国株式市場:[.NJP]

<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を控えて様子見ムードが広がる中、反発した。

米連邦準備制度理事会(FRB)が9、10両日に開催しているFOMCでは、0.25%の利下げが決定されるとの観測が根強い中で、金利を産まない資産である金に買いが入った。ただ、会合後に発表されるFOMC声明やパウエルFRB議長の記者会見などの 内容を見極めたいとの思惑から、積極的な商いは手控えられ、金の上値は重かった。

ドイツ素材大手のヘレウスは8日付の貴金属リポートで、2026年の金相場の見通しを3750〜5000ドルとした。ヘレウスはその上で、「短期的には再び上昇する可能性はあるものの、(25年の)劇的な上昇の後には、26年初めに調整や値固め局面を経て、次の上昇トレンドに入ると予想される」と述べた。

NY貴金属:[GOL/XJ]

<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は続落。予想を上回る米雇用関連指標の発表を受け、利下げペースの鈍化観測が拡大した。

米国産標準油種WTI2月物は0.55ドル安の58.08ド ルだった。

翌10日午後に米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策決定を控え、市場は0.25%の追加利下げを織り込むとともに、来年以降の金融緩和ペースの鈍化を警戒。こうした中、米労働省が午前に発表した10月の雇用動態調査(JOLTS)では、非農業部門 の求人数が市場予想を大きく上回った。これを受け、ドルが主要通貨に対して上昇。原油相場は58ドル台前半に下落。その後は、ウクライナ和平交渉の 行方や国際エネルギー機関(EIA)月報の発表待ちで様子見ムードが広がり、もみ合い商状が続いた。 

NYMEXエネルギー:[CR/USJ]

ドル/円 NY午後4時 156.90/156.91

始値 156.18

高値 156.95

安値 156.19

ユーロ/ドル NY午後4時 1.1626/1.1628

始値 1.1643

高値 1.1644

安値 1.1616

米東部時間

30年債(指標銘柄) 16時26分 97*02.50 4.8100%

前営業日終値 96*31.50 4.8160%

10年債(指標銘柄) 16時15分 98*16.00 4.1859%

前営業日終値 98*19.50 4.1720%

5年債(指標銘柄) 16時25分 98*23.25 3.7831%

前営業日終値 98*27.75 3.7520%

2年債(指標銘柄) 16時17分 99*17.63 3.6126%

前営業日終値 99*19.38 3.5830%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 47560.29 -179.03 -0.38

前営業日終値 47739.32

ナスダック総合 23576.49 +30.58 +0.13

前営業日終値 23545.90

S&P総合500種 6840.51 -6.00 -0.09

前営業日終値 6846.51

COMEX金 2月限 4236.2 +18.5

前営業日終値 4217.7

COMEX銀 3月限 6084.0 +243.5

前営業日終値 5840.5

北海ブレント 2月限 61.94 ‐0.55

前営業日終値 62.49

米WTI先物 1月限 58.25 ‐0.63

前営業日終値 58.88

CRB商品指数 299.6257 ‐1.8591

前営業日終値 301.4848

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