主要国・地域の25年成長率見通し上げ、AIブームで=OECD
2025年5月12日、米カリフォルニア州オークランド港で撮影。REUTERS/Carlos Barria
Leigh Thomas
[パリ 2日 ロイター] - 経済協力開発機構(OECD)は2日、AI(人工知能)への投資ブームが米関税引き上げによる影響の一部を相殺しており、世界の経済成長は予想以上に持ちこたえているとして、いくつかの主要国・地域の成長率見通しを上方修正した。
世界経済の成長率については、2025年の3.2%から26年には2.9%へと緩やかに減速すると予測。9月時点の予測から変更はなかった。27年には3.1%まで回復するとした。
米国経済は25年に2%成長を達成すると予測。9月時点の1.8%から引き上げた。26年は1.7%(9月時点の予測は1.5%)に減速する見通し。
AI投資、財政支援、連邦準備理事会(FRB)の利下げが、輸入品への関税、移民の減少、連邦政府の雇用削減による影響を相殺するという。
中国の25年成長率予測も9月時点の4.9%から5%に上方修正。26年については4.4%で据え置いた。財政支援が弱まり、米国の新たな関税が響いてくる見込み。
ユーロ圏の25年の成長率見通しは1.2%から1.3%に上方修正された。堅調な労働市場とドイツにおける公共支出増に支えられる。26年の成長率は1.2%(従来予測は1%)に鈍化する見通し。フランスとイタリアの予算引き締めに圧迫される。
日本経済は好調な企業収益と投資に支えられ、25年の成長率予測は1.1%から1.3%に引き上げられた。26年は0.9%に減速する見通し。
<貿易・インフレ見通し>
世界の貿易は、関税の本格的な影響が投資や消費に及ぶことで、25年の4.2%増から26年には2.3%増に鈍化すると見込まれる。貿易政策の不透明感が強く、回復の見通しは限定的だ。
インフレ率は大半の主要国で27年半ばまでに中央銀行の目標水準に徐々に戻ると予想される。米国では関税の転嫁により26年半ばにインフレがピークに達した後、緩和する見通しだ。
中国や一部の新興国では、余剰生産能力の縮小に伴い、インフレ率が緩やかに上昇すると予測される。
主要中央銀行の多くは、インフレ圧力が和らぐ中で、今後1年間は政策金利を据え置くか引き下げるとみられる。FRBは、関税で想定外のインフレが起きない限り、26年末までに小幅な利下げを行うと見込まれている。
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