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英中銀の量的緩和、利益が巨額損失をほぼ埋め合わせ

2025年11月12日(水)08時57分

写真は英イングランド銀行(中央銀行、BOE)。2024年7月、ロンドンで撮影。REUTERS/Maja Smiejkowska

Andy Bruce

[マンチェスター 11日 ロイター] - 英イングランド銀行(中央銀行、BOE)は11日、量的緩和(QE)に伴う英国債の購入で得た大幅な利益が、その後の資産保有から生じた巨額の損失をほぼ埋め合わせていると発表した。

英中銀はQEで直接生じた純累計損失に関して算出した標準的な推計を更新し、今後の金利動向によって600億ポンド(約805億ドル)から1200億ポンドの範囲になるとした。8月時点の推計はこの損失額を550億ポンドから1150億ポンドと見積もっていた。

新たな分析によると、2009年から21年にかけて実施されたQEは現在、引き締めに転換する過程にあるが、英政府がより安価に国債を発行できるという追加的な利益をもたらしたという。

英中銀は国債発行コストの低下が500億ポンドから1250億ポンドの財政的節約につながり、QEの直接的なコストをほぼ完全に埋め合わせたと述べた。また、この分析はQEに伴う経済や税収に対する押し上げ効果を盛り込んでいない。

英中銀はこれまでにQEの目的が2%のインフレ目標の達成であって、国家の資金調達を支援する意図がなかったと述べていた。

英中銀は新型コロナのパンデミック(世界的大流行)時に景気刺激策として英国債を購入し、購入総額が8750億ポンドに達した。現在は金利が大幅に上昇し、債券価格が購入時の予想よりも低下しているため巨額損失を計上している。

英中銀は英国債を売却しつつ償還期限を迎えることで保有額を縮小する「量的引き締め(QT)」を進めており、このために一部の損失が前倒しで表面化している。

ロイター
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