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イーライリリー株急落、経口肥満症薬の試験結果が期待に届かず

2025年08月08日(金)08時03分

米製薬大手イーライリリーが開発している経口型肥満症治療薬「オルフォルグリプロン」が、後期臨床試験で期待ほどの効果を示せなかったと投資家に受け止められ、同社の株価は7日に15%近く急落した。2023年3月、カリフォルニア州サンディエゴで撮影(2025年 ロイター/Mike Blake)

Patrick Wingrove Bhanvi Satija

[7日 ロイター] - 米製薬大手イーライリリーが開発している経口型肥満症治療薬「オルフォルグリプロン」が、後期臨床試験で期待ほどの効果を示せなかったと投資家に受け止められ、同社の株価は7日に15%近く急落した。

糖尿病を除く肥満症または太り過ぎの問題を抱える3000人を対象に72週間実施したこの試験では、オルフォルグリプロンの最大用量36ミリグラムを投与されたグループの平均体重減少率は12.4%、プラセボ(偽薬)投与グループは0.9%となった。

バークレイズのアナリスト、エミリー・フィールド氏は、これまでの試験を経てオルフォルグリプロンの減量効果は、ノボノルディスクの注射型肥満症治療薬「ウゴービ」を上回るとの観測が高まっていただけに、ウゴービより効果が低かったことは衝撃だと述べた。

一方でアプタス・キャピタル・アドバイザーズのポートフォリオマネジャー、デーブ・ワグナー氏は、12.4%という体重減少率はかなり高く、株価急落は市場の過剰反応だと主張。イーライリリーが今後も肥満症治療薬市場でシェアを伸ばし続けられると確信していると言い切った。

オルフォルグリプロンとウゴービはともにGLP-1受容体作動薬というタイプに属する。イーライリリーは注射型のGLP-1受容体作動薬として、ウゴービと直接競合する「ゼップバウンド」も既に販売している。

ただ経口型は製造や包装がより簡単で、患者も注射より錠剤の方を好む傾向が複数の調査から分かる。

こうした中でイーライリリーのデービッド・リックス最高経営責任者(CEO)は「われわれは今回の結果に勇気付けられた」と語り、1日1回の服用で済む便利で強力なGLP-1受容体作動薬を提供するという目標は変わらないと強調した。

ロイター
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