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WTO、貿易見通しの悪化警告 来年の予想下方修正
世界貿易機関(WTO)は5日、エネルギー価格の高騰、金利上昇、食料や肥料の価格上昇により、世界のモノ(財)の貿易の伸びが来年、大幅に鈍化するとの見通しを示した。カリフォルニア州ロングビーチ港で昨年11月撮影。(2022年 ロイター/Mike Blake)
[ジュネーブ 5日 ロイター] - 世界貿易機関(WTO)は5日、エネルギー価格の高騰、金利上昇、食料や肥料の価格上昇により、世界のモノ(財)の貿易の伸びが来年、大幅に鈍化するとの見通しを示した。その上で、ウクライナでの戦争が一段と深刻になった場合は、貿易が縮小する可能性もあると警告した。
今年の伸び率は3.5%と、4月の予測(3.0%)から上方修正したが、23年の予測は3.4%から1.0%に下方修正した。
予測には高度の不確実性があるとし、今年は2.0%増─4.9%増、23年は2.8%減─4.6%増という予測レンジを示した。
オコンジョ・イウェアラ事務局長は記者会見で「23年の見通しは相当暗くなった」と述べ、来年の予想を巡るリスクは下向きとした。
「ウクライナ戦争の状況が悪化すれば影響は大きい」と語った。
世界が必要としているのは、より多様で偏りの少ない生産・サービスの基盤であるとし、そうした基盤こそが異常気象や地域の混乱による影響を緩和して長期の物価安定を促し、耐性を高め、成長を押し上げると指摘した。
事務局長はまた、貿易規制に走るべきではないと主張。さまざまな国・地域が食品や肥料の輸出に課した規制措置は、過去1カ月の間に57件から42件に減少したが、その後は新規の規制が導入されたことから、53件へと再び増加したと説明した。
「(貿易規制は)インフレ圧力を高め、生活水準の低下につながるだけであり、われわれが取り組んでいる危機への耐性が弱まってしまう」などと述べた。