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NY外為市場=介入受け円急騰、金融政策の差で維持困難との見方

2022年09月23日(金)06時12分

ニューヨーク外為市場では、日本政府・日銀が約24年ぶりの円買い介入に踏み切ったことを受け、円が広範な通貨に対し急上昇した。6月16日撮影(2022年 ロイター/Florence Lo/Illustration/File Photo/File Photo)

[ニューヨーク/ロンドン 22日 ロイター] - ニューヨーク外為市場では、日本政府・日銀が約24年ぶりの円買い介入に踏み切ったことを受け、円が広範な通貨に対し急上昇した。ただ市場関係者は、円の上昇を維持するのは困難になるとの見方を示している。

終盤の取引でドルは対円で1.2%安の142.33円。ドルは一時は24年ぶりの高値となる145.9円まで上昇したが、介入を受け140.31円まで下落。この日の高値と安値との間の差は2016年6月以来の大きさとなった。

ユーロ、英ポンド、スイスフラン、豪ドル、ニュージーランドドルなども対円で大きく下落した。

スタンダードチャータード(ニューヨーク)でグローバルG10FXリサーチと北米マクロ戦略の責任者を務めるスティーブン・エングランダー氏は「介入を有効に機能させるため、政府・日銀が常に市場で存在感を示さなくてはならなくなるリスクがある。連日のように介入する必要があるわけではないが、市場は介入を恐れるだろう」とし、「市場は神経質になっている」と述べた。

政府・日銀が介入実施を発表する数時間前には、日銀が金融政策の現状維持を全員一致で決定。米連邦準備理事会(FRB)を含む世界の主要中央銀行がインフレ対応に積極的な金融引き締めを行う中、日銀が対象的な動きを示していることが円の重しになっている。

アナリストは、日本が円を持続的に上昇させるのは困難と指摘。ウェルズ・ファーゴ証券の国際エコノミスト兼外為ストラテジスト、ブレンダン・マッケナ氏は「金融政策の道筋の相違が続く限り、円安は続く」と述べた。

今回の介入を受けても、ドルの年初からの対円での上昇率は23.6%。年間上昇率としては43年ぶりの大きさになる可能性がある。

英ポンドはは0.2%安の1.1251ドル。アジア取引時間帯では1.1213ドルと、37年ぶりの安値を付けていた。

イングランド銀行(英中央銀行)はこの日、政策金利を1.75%から0.5%ポイント引き上げ2.25%とすると発表。引き続き必要に応じて「力強く行動」する方針を示した。

ユーロはほぼ横ばいの0.9832ドル。北米時間の取引開始前は0.9807ドルと、20年ぶりの安値を更新していた。

主要6通貨に対するドル指数は0.1%安の111.32。前日のFRBによる利上げを受け、一時は111.81と、20年ぶり高値を付けていた。

スイスフランはドルとユーロの双方に対し約1.2%下落。スイス国立銀行(中央銀行)はこの日、マイナス0.25%だった政策金利を75ベーシスポイント(bp)引き上げ0.5%とし、マイナス金利を脱した。一部では100bpの利上げも予想されていた。

ノルウェークローネもドルとユーロに対し下落。ノルウェー中央銀行は政策金利を1.75%から2.25%に50bp引き上げた。

ドル/円 NY終値 142.35/142.36

始値 142.50

高値 142.81

安値 140.36

ユーロ/ドル NY終値 0.9836/0.9840

始値 0.9874

高値 0.9887

安値 0.9813

ロイター
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