ニュース速報

ビジネス

ソフトバンクG、4─6月期3.16兆円の赤字 世界株安で投資損失拡大

2022年08月08日(月)20時13分

 8月8日、ソフトバンクグループ(SBG)が発表した2023年3月期第1・四半期(4─6月期、国際会計基準)の最終損益は3兆1627億円の赤字となった。写真は同社のロゴ。都内で2021年2月撮影(2022年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 8日 ロイター] - ソフトバンクグループ(SBG)が8日発表した2023年3月期第1・四半期(4─6月期、国際会計基準)の最終損益は3兆1627億円の赤字となった。赤字は2四半期連続で、四半期の赤字額としては過去最大となった。世界的な金利上昇を受けた株安で、新興企業などに投資するビジョン・ファンド(SVF)の投資損失が2兆9191億円に膨らんだほか、円安で国内会社の米ドル建て純負債が増加し、為替差損8200億円を計上した。

前年同期の最終損益は7615億円の黒字だった。

財務状況の悪化を受け、同社はアリババ株式を活用した先渡売買契約により104.9億米ドル、米携帯電話サービス大手TモバイルUSの株式売却で24億米ドルを調達する。傘下の資産運用会社フォートレス・インベストメント・グループの売却先についても話し合いを始めていると明らかにした。

孫正義会長兼社長は、徳川家康が三方ケ原の戦いで敗れた姿とされる肖像画「徳川家康三方ケ原戦役画像(しかみ像)」を決算説明会の冒頭スライドで紹介、「しっかりと反省し戒めとして覚えておきたい」と述べ、ビジョン・ファンドへの新たな投資は抑えるなど、引き続き「守り」の徹底を実施していく考えを示した。

また、孫会長は「次に行うべき守りの部分はコスト削減」と述べ、人員削減を実施する考えを明らかにした。「創業以来最悪の赤字が続いている。聖域のない、あらゆるコストダウンを図らなければならない」とした。具体的な規模は明らかにしていないものの「大幅に、全社的に、全グループ的に」実施していく考えを示した。

ビジョン・ファンドの損失に関しては「(バリュエーションが)正当化されると思い込んでしまい、高い値札のものをたくさんそろえてしまった。今振り返ってみれば、バブル状態があったと反省している」と述べた。世界的な金利上昇局面を受け、投資環境の冬は今後も続くとの認識を示した。

4─6月期の売上高は前年同期比6.3%増の1兆5720億円だった。ソフトバンク事業とアーム事業での増収が寄与した。同社は通期業績予想を非開示としている。

ソフトバンクグループは同時に発行済み株式の6.3%にあたる1億株、4000億円を上限とする自己株の取得枠を新たに設定した。昨年11月、最大1兆円の自己株取得を決議し、7月末までに7048億円を取得しているが、この自己株式取得期間が終了した後も、自己株取得を継続できるようにした。取得した自己株式は消却する予定。

(佐古田麻優編集:石田仁志)

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米GDP、第1四半期は+1.6%に鈍化 2年ぶり低

ビジネス

ロイターネクスト:為替介入はまれな状況でのみ容認=

ビジネス

ECB、適時かつ小幅な利下げ必要=イタリア中銀総裁

ビジネス

トヨタ、米インディアナ工場に14億ドル投資 EV生
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 3

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP非アイドル系の来日公演

  • 4

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 7

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    やっと本気を出した米英から追加支援でウクライナに…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中