ニュース速報

ビジネス

セブン銀、25年に国内ATM事業で経常収益1000億円 代替需要狙う

2022年06月24日(金)17時42分

 6月24日、セブン&アイ・ホールディングス傘下のセブン銀行は、キャッシュレス化進展の中でもATM(現金自動預払機)ビジネスの伸長を見込んでいる。写真はセブン銀のロゴ。都内で2017年3月撮影(2022年 時事通信)

[東京 24日 ロイター] - セブン&アイ・ホールディングス傘下のセブン銀行は、キャッシュレス化進展の中でもATM(現金自動預払機)ビジネスの伸長を見込んでいる。ATMを高機能化し、他の金融機関などからの代替需要を取り込むことなどで、2025年には国内ATM事業で経常収益1000億円を計画している。

21年度末のセブン銀の国内ATM設置台数は2万6253台で、ここ10年間で1万台増加している。グループ内2万3212台に対し、グループ外は3041台。国内コンビニの出店が頭打ちとなる中、グループ外での設置を増やす方向にある。

松橋正明社長はロイターとのインタビューで「ATMの高機能化で新しい使い方ができる。ATMを減らしたいところ、運営の負担が重くなってきたところを代替していく」と述べ、まだ需要は増加するとの見方を示した。

全国にあるATMは17年度にピークを付け、19年度末はピーク比5600台減少の約19万台となっている。一方、全国ATMに占めるセブン銀のシェアは、12年度に10%に乗せ、現在は14%に達しているという。

ATMを基盤として、電子決済サービスへの現金チャージや国からの給付金の受け取り、マイナンバーカードの健康保険証利用の申し込みなどの機能を乗せ、サービスプラットフォームへと進化させている。今後も「社会課題や公共のデジタル化に対応していく」(松橋社長)という。

同社はコンビニ利用者の声に応える形で2001年4月に「アイワイバンク銀行」として設立、05年にセブン銀行に社名を変更した。セブンーイレブン全店へのATM設置の方針の下、出店拡大と足並みを揃えて成長してきた。単体経常収益の約90%はATM受入手数料となっている。

設立検討段階からかかわってきた松橋社長は「参入時にビジネスを根っから替えた。すべてデジタル化しており、かなりコストを下げたモデル」と話す。ATM内の現金を定期的に数えることなどを自動化しているほか、2つのシステムを同時に稼働させ、トラブル時にも停止しないようなシステム構築を行っているという。頻繁にアップデートを行うことを前提に1機種・1ベンダーで運営しており「24時間365日、ATMの状況を即座に把握する仕組みを苦労して作ってきた。そこが生命線で、顧客のために作り続けたことがノウハウ」と、同社の強みを明らかにした。

21年度の連結経常収益は1366億円。21―25年度までは第2の成長の具体化期間としており、25年度は1700億円を目標として掲げている。1000億円は国内ATMビジネス、700億円は海外や多角化事業を育てていく。

松橋社長は20日の株主総会で社長就任が正式に決まった。金融機関としては異例のエンジニア出身。セブン銀設立検討時からかかわっており「生みの苦しみから、やっと社会人になった。まだまだ育てられると思っている」と話している。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米GDP、第1四半期は+1.6%に鈍化 2年ぶり低

ビジネス

ロイターネクスト:為替介入はまれな状況でのみ容認=

ビジネス

ECB、適時かつ小幅な利下げ必要=イタリア中銀総裁

ビジネス

トヨタ、米インディアナ工場に14億ドル投資 EV生
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 3

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP非アイドル系の来日公演

  • 4

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 7

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    やっと本気を出した米英から追加支援でウクライナに…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中