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ECB総裁、指針変更で譲歩や説得 緩和縮小の議論は一層緊迫か

2021年07月24日(土)01時09分

欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁が今週の理事会で、譲歩や説得を重ね、政策指針変更への支持獲得に奔走したと、関係筋6人が明らかにした(2021年 ロイター/Olivier Matthys)

[フランクフルト 23日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁が今週の理事会で、譲歩や説得を重ね、政策指針変更への支持獲得に奔走したと、関係筋6人が明らかにした。

ECBは22日の理事会で、先行きの政策指針である「フォワードガイダンス」を変更した。今月上旬に打ち出した新戦略に対応するもので、物価の一時的な上振れを容認し、低金利をさらに長期間継続する。

指針の表現を巡り、25人の理事会メンバーの多くが当初反対を主張したが、ラガルド総裁の努力が実り、最終的に反対したのはドイツ連銀のワイトマン総裁とベルギー中銀のウンシュ総裁の2人のみだった。

しかし、当局者間の溝は見かけよりも深いと関係筋は指摘する。理事会では新たな指針の当初案を巡り、インフレ率の上振れを巡る表現が強過ぎるとして、メンバーの約半分から懸念や反対の声が上がった。反対派の大半の意見を受け入れるために、会合中に別の指針案が作成されたという。

関係筋の一人は、当初案については「コンセンサスと呼ぶには程遠かった」と述べた。

通常、ECB理事会の提案が政策決定会合中に変更されることはほとんどない。さらに、提案の大半は全会一致、もしくは圧倒的多数の支持によって決定される。また、今回の政策指針を巡っては、当局者は理事会の数週間前から協議を重ね、すでに複数の修正が行われていた。

別の関係筋は、2019年9月にドラギECB前総裁が提案した量的緩和再開に理事会メンバー3分の1が反対したことに言及し、ECB内の溝が「19年9月ほどでないとしても、今年終盤にかけて行われる債券購入(縮小)を巡る議論が非常に困難となるシグナルだ」と述べた。

ロイター
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