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NY市場サマリー(22日)ドル小幅高、国債利回り低下

2021年07月23日(金)06時31分

[22日 ロイター] -

<為替> リスク選好度の浮き沈みにに伴い不安定な値動きとなる中、ドルが主要通貨バスケットに対し小幅上昇。一方、欧州中央銀行(ECB)理事会の結果が消化される中、ユーロは下落した。

朝方発表された米新規失業保険週間申請件数が約2カ月ぶりの水準に増加したこと受け、米景気回復を巡る懸念が高まり、ドルは一時下落。しかしその後は持ち直し、主要6通貨に対するドル指数は終盤の取引で、0.1%高の92.852。

モネックス・ヨーロッパのシニアFXマーケットアナリスト、サイモン・ハービー氏は「米市場や世界的なマクロ、新型コロナウイルスを巡る懸念、政治的リスクいずれも不確実性が極めて高い」と指摘。「これらが近く解消されることはなく、ドルは今後数カ月、堅調に推移すると予想する」と述べた。

17日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比5万1000件増の41万9000件と、予想外に増加した。米国で新型コロナウイルスのデルタ変異株の感染が拡大する中、労働市場が依然危機を脱していない可能性を示唆した。

ケンブリッジ・グリーバル・ペイメンツのチーフ市場ストラテジスト、カール・シャモッタ氏は「米労働市場の改善失速の可能性を示唆し、米連邦準備理事会(FRB)の量的緩和縮小が後ずれし、米債利回りは一段の圧力にさらされる可能性がある」と述べた。

ユーロは一時上昇。しかしその後は0.2%安の1.1767ドルで推移した。ECBは22日の理事会で、先行きの政策指針である「フォワードガイダンス」を変更。今月上旬に打ち出した新戦略に対応するもので、物価の一時的な上振れを容認し、低金利をさらに長期間継続する。

英ポンドは0.4%高の1.3767ドル。

ドル/円は0.1%安の110.17円。

暗号資産(仮想通貨)のビットコインはは続伸し、0.4%高の3万2287ドル。

NY外為市場:[USD/J]

<債券> 米債利回りが低下した。160億ドルの10年物価連動債(TIPS)入札が堅調だったほか、米新規失業保険申請件数が予想外に上昇したことを受け、米連邦準備理事会(FRB)がハト派的な政策スタンスを維持するとの見方が強まった。

過去最大規模となるTIPS入札では、最高落札利回りがマイナス1.016%と過去最低になった。FHNフィナンシャル・キャピタルの金利ストラテジスト、ジム・ボーゲル氏によると、応札倍率は2.50倍で好調だったという。

米労働省が22日に発表した17日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比5万1000件増の41万9000件と、予想外に増加し、5月半ば以来約2カ月ぶりの高水準となった。米国で新型コロナウイルスのデルタ変異株の感染が拡大する中、労働市場が依然危機を脱していない可能性を示唆した。

10年債利回りは2.2ベーシスポイント(bp)低下の1.260%。30年債利回りは3.1bp低下の1.899%。

BMOキャピタル・マーケッツの金利ストラテジスト、ベン・ジェフェリー氏は、米債利回りは数週間にわたり変動した後、来週27─28日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に落ち着きを取り戻しつつあると指摘。「きょうは出来高が大幅に減少した。来週のFOMCに向けてポジションを調整し始めている」とし、来週28日にかけて米10年債利回りは1.25─1.3%のレンジで取引されるだろうと述べた。

2年債利回りは0.8bp低下の0.200%。2年債と10年債の利回り差は105.8bpとなった。

物価連動国債(TIPS)と通常の国債の利回り差で、期待インフレを示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は、5年物が2.491%、10年物が2.3%だった。

米金融・債券市場:[US/BJ]

<株式> 小幅高。ダウ工業株30種は25ドル高で取引を終えた。ハイテク株やグロース(成長)株などに買いが入った。

マイクロソフトやネット通販のアマゾン・ドットコム、アップル、交流サイトのフェイスブック、グーグルの持ち株会社アルファベットは決算発表を来週に控え、軒並み上昇した。

主要3株価指数はいずれも終値ベースの過去最高値まで1%以内に迫った。

グロース株は0.8%高。一方、バリュー(割安)株は0.5%安。

レノックス・ウェルス・アドバイザーズの最高投資責任者(CIO)、デビッド・カーター氏は「経済成長がほぼピークに達したのでハイテクのように自ら成長する株を買う必要があるという見方と、経済成長が続くので循環・バリュー株を買うべきだという見方の間で、市場は揺れ動いている」と述べた。

経済指標では、週間の新規失業保険申請件数が前週比5万1000件増の41万9000件と予想外に増加し、5月半ば以来約2カ月ぶりの高水準となった。

カーター氏は「統計による相場への影響は限定的だった」とした上で、「米連邦準備理事会(FRB)がいつまで低金利を容認するかが重要で、FRBは物価安定の義務よりも完全雇用の義務を優先しているようだ」と話した。

この日行われた160億ドルの10年物価連動債(TIPS)入札は最高落札利回りがマイナス1.016%と過去最低を記録。これが銀行株の売りを誘ったという。金融株は1%安。

リフィニティブによると、第2・四半期の決算発表が本格化する中、S&P総合500種構成銘柄の104社がこれまでに決算を発表。そのうち88%が市場予想を上回った。

アメリカン航空とサウスウエスト航空が22日に発表した第2・四半期決算は、政府支援と旅客需要の回復が追い風となり、共に黒字となった。アメリカン航空は1.1%安、サウスウエスト航空は3.5%安。

半導体大手インテルは22日、通期売上高予想を上方修正した。株価は時間外取引で1%強下落した。

ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を1.82対1の比率で上回った。ナスダックでは1.90対1で値下がり銘柄数が多かった。

米取引所の合算出来高は82億5000万株。直近20営業日の平均は101億2000万株。

米国株式市場:[.NJP]

<金先物> 米雇用指標の悪化や米長期金利の落ち着きを支えに、小反発した。中心限月8月物の 清算値(終値に相当)は前日比2.00ドル(0.11%)高の1オンス=1805.4 0ドル。

NY貴金属:[GOL/XJ]

<米原油先物> エネルギー需要拡大に対する楽観的な観測を支えに続伸した。米国産標準油種WTI の中心限月9月物の清算値(終値に相当)は前日比1.61ドル(2.29%)高の1バレル=71.91ドルだった。

NYMEXエネルギー:[CR/USJ]

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