ニュース速報

ビジネス

NY市場サマリー(12日)株式大幅続落、債券利回り上昇

2021年05月13日(木)07時14分

[12日 ロイター] -

<為替> 4月の米消費者物価指数が予想より大きく上昇したことでドルが上向いた。ただ上昇は抑制され、このところの範囲内にとどまっている。

労働省発表の4月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は、総合指数が前年比4.2%上昇し、2008年9月以来、約12年半ぶりの大幅な伸びを記録した。

主要6通貨に対するドル指数は0.61%高の90.760。CPIがこれほど上昇したのに対し、上げ幅は抑制されている。

物価が上昇すれば連邦準備理事会(FRB)が利上げに動くとの連想から、物価上昇はドル高要因となる。ただ、パウエルFRB議長がインフレ上昇を一定期間容認しながら金利を現行水準にとどめると確約していることで、この日のドルの上昇は抑制された。

シュアブセンター・フォー・フィナンシャルリサーチのトレーディング・デリバティブ担当バイスプレジデント、ランディー・フレデリック氏は「大きな動きではなかった」とし、「ドルはパンデミック(世界的大流行)開始後の昨年5月から基本的に軟調だった。この日の動きで数週間前の水準に戻ったにすぎない」と述べた。

対ドルでユーロは0.60%安の1.208ドル、円は0.87%安の109.58円、英ポンドは0.60%安の1.406ドル。

暗号資産(仮想通貨)のイーサは4380.64ドルと過去最高値を更新。その後は下落に転じ、2.72%安。

<債券> CPIが予想を大幅に上回る伸びとなったことからインフレ懸念が台頭し、長期金利は1.7%近くまで上昇した。

10年債利回りは一時1.697%と、4月13日以来の高水準を付けた。その後は7.1ベーシスポイント(bp)上昇の1.695%。一日の伸びとしては3月18日以降で最大となる見込み。

FRB当局者は、物価の高進が一過性にとどまるとの見方を繰り返し示している。クラリダ副議長はこの日、量的緩和縮小の検討を開始するほど米経済が「さらなる著しい進展」を遂げるには「時間がかかる」と強調した。

30年債利回りは6.3bp上昇し2.415%。

物価連動国債(TIPS)と通常の国債の利回り差で、期待インフレ率を示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は、5年物が2.734%と10年ぶり高水準。10年物は2.566%で推移した。

<株式> 大幅続落。S&P総合500種は2月以来の大幅な下落率を記録した。4月の米消費者物価指数(CPI)の総合指数が前年比で約12年半ぶりの大幅な伸びとなったことを受け、予想よりも早期に利上げが実施される可能性があるとの懸念が強まった。

エクイティ・キャピタルのマクロエコノミスト、スチュアート・コール氏は「今後はFRBがいつまで市場に反してハト派スタンスを維持できるかが大きな問題だ」と指摘。「特に企業が労働者の復帰を促すため賃金を引き上げ始めれば、インフレは一時的というFRBの議論に大きな穴があく」と述べた。

S&P500の主要11セクターのうち10セクターがマイナス圏で引け、一般消費財の下げが最大となった。原油高を背景にエネルギーは上昇した。

アマゾン・ドット・コム、アップル、アルファベット、マイクロソフト、テスラなど大型株は割高感を意識して売られ、2%超の下げとなった。

投資家の不安心理を示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(恐怖指数、VIX)は、3月4日以来の高水準で取引を終えた。

<金先物> 金利上昇やドル高・ユーロ安が重しとなり、続落した。中心限月6月物の清算値(終値に相当)は前日比13.30ドル(0.72%)安の1オンス=1822.80ドル。

<米原油先物> 根強い需給引き締まり期待を支えに4営業日続伸した。米国産標準油種WTI6月物の清算値(終値に相当)は前日比0.80ドル(1.23%)高の1バレル=66.08ドルで、中心限月の清算値としては3月5日以来約2カ月ぶりの高値水準となった。7月物は0.80ドル高の66.10ドルだった。

ドル/円 NY終値 109.65/109.68

始値 108.67

高値 109.70

安値 108.67

ユーロ/ドル NY終値 1.2069/1.2073

始値 1.2124

高値 1.2151

安値 1.2066

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 88*19.00 2.4145%

前営業日終値 89*26.50 2.3520%

10年債(指標銘柄) 17時05分 94*29.00 1.6934%

前営業日終値 95*16.50 1.6240%

5年債(指標銘柄) 17時05分 99*14.25 0.8644%

前営業日終値 99*24.00 0.8010%

2年債(指標銘柄) 17時05分 99*29.38 0.1668%

前営業日終値 99*29.75 0.1610%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 33587.66 -681.50 -1.99

前営業日終値 34269.16

ナスダック総合 13031.68 -357.75 -2.67

前営業日終値 13389.43

S&P総合500種 4063.04 -89.06 -2.14

前営業日終値 4152.10

COMEX金 6月限 1822.8 ‐13.3

前営業日終値 1836.1

COMEX銀 7月限 2724.4 ‐42.3

前営業日終値 2766.7

北海ブレント 7月限 69.32 +0.77

前営業日終値 68.55

米WTI先物 6月限 66.08 +0.80

前営業日終値 65.28

CRB商品指数 207.9603 +0.4078

前営業日終値 207.5525

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米P&G、通期コア利益見通し上方修正 堅調な需要や

ワールド

男が焼身自殺か、NY裁判所前 トランプ氏は標的でな

ビジネス

ECB、6月以降の数回利下げ予想は妥当=エストニア

ワールド

IMF委、共同声明出せず 中東・ウクライナ巡り見解
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負ける」と中国政府の公式見解に反する驚きの論考を英誌に寄稿

  • 4

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 5

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 8

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 7

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 8

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 9

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 10

    大半がクリミアから撤退か...衛星写真が示す、ロシア…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中